「プロサングエとクラウン、どっちが先?」そんな疑問を抱いた方は、きっと両車のデザインが似ていることに気づかれたのではないでしょうか。フェラーリとトヨタ、まったく異なるブランドのSUVがここまで似ているのは偶然なのか、それともどちらかが意識した結果なのか――気になりますよね。
この記事では、プロサングエとクラウンスポーツの発表時期や開発背景を丁寧に比較しながら、似ていると話題のデザイン要素や、両者の性能・価格・ターゲット層の違いについても徹底解説していきます。
読み終えるころには、「どっちが先?」という疑問の答えはもちろん、あなたに合った一台が見えてくるはずです。
プロサングエとクラウンスポーツの“そっくり疑惑”とは?
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なぜ「似ている」と言われるのか
フェラーリ初のSUV「プロサングエ」と、トヨタが展開する新世代クロスオーバー「クラウン スポーツ」。一見、まったく違うブランド・車格にもかかわらず、「どこか似ている」と感じる人が多いのも事実です。その理由の一つが、フロントデザインの印象です。
プロサングエは、フェラーリらしいアグレッシブなフロントフェイスと、低く構えたグリルを持ちながら、SUVとしての堂々たるボディサイズを採用しています。一方、クラウンスポーツも六角形グリルやシャープなLEDヘッドライトを備え、スポーティさと高級感を融合させたデザインに仕上げられています。特にフロントマスクの構成や、滑らかなサイドシルエットは、両車に共通する“今風”の高級SUVらしい造形です。
また、「筋肉質なフェンダーライン」や「流れるようなボディの曲線美」も類似点として挙げられています。このように、細部を見比べるとまったく異なる設計思想が見えてきますが、ぱっと見た印象では「似てる」と感じるのも無理はありません。
共通するデザイン要素とブランドの狙い
なぜ、フェラーリとトヨタという異なる方向性を持つメーカーのSUVが、似たようなデザインを採用しているのでしょうか。その理由の背景には、自動車業界全体のデザイントレンドがあります。
近年、SUV市場では「高級感」と「スポーティさ」を兼ね備えたスタイリングが求められており、その結果として、各社が似たような要素を取り入れています。たとえば、空力性能を重視したスムーズなボディラインや、存在感のあるフロントグリル、高い車高と低いルーフラインの組み合わせなどは、プロサングエにもクラウンにも共通しています。
また、技術面の進化も無視できません。風洞実験で導き出される最適な形状は、ブランドを問わず似通ってくるもの。プロサングエにはフェラーリの空力哲学が詰め込まれていますが、クラウンも空力と静粛性を高めたデザインを実現しています。
ブランドの狙いとしては、フェラーリは「ラグジュアリーでありながら走りも妥協しないSUV」、トヨタは「実用性と高級感を両立したクロスオーバー」という異なる方向を目指しながらも、「上質感」と「存在感」を求めた結果、似たテイストの外観に到達したと言えるでしょう。
発表時期で見る「どっちが先」?
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プロサングエとクラウンの発表時期を比較
では、「似ている」という印象を受けたとしても、どちらが先に発表されたのでしょうか?まず結論から言えば、プロサングエもクラウンも、ともに“2022年”に発表されています。
フェラーリのプロサングエは、2022年9月に世界公開されました。一方、トヨタは2022年7月に新型クラウンシリーズを発表し、その中で「クラウンスポーツ」の姿を初公開しています。つまり、発表のタイミングだけでいえば、クラウンのほうがやや先と言えるかもしれません。
しかし、ここで注意すべきなのは、「発表日が早い=真似をされた」というわけではないということです。自動車の開発は通常、数年単位で行われるため、外観が似ていたとしても、単純に発表日だけを根拠にどちらが“先”だったとは言い切れないのです。
開発スタート時期は?どちらが先に動いたか
自動車のデザインや設計は、実際の発表よりもかなり前から進行しています。フェラーリがSUV市場に参入するという情報は、早くも2017年頃から噂されていました。その後、長い時間をかけて「プロサングエ」の開発が行われ、ついに2022年に発表されたという経緯があります。
一方、クラウンについても、長年のセダン型から脱却する新世代戦略として、クロスオーバー化に向けた開発が社内で進められてきました。クラウンは日本国内での高級車の象徴という位置づけであるため、そのデザイン刷新は慎重に進められたと考えられます。
このように、両車とも数年前から独自に開発が始まっており、「片方がもう片方を見て急遽デザインを変更した」というようなことは考えにくいのが実情です。
パクリではなく“時代の流れ”という根拠
プロサングエとクラウンスポーツのデザインが似ているからといって、一方が他方を「パクった」と断じるのは、やや短絡的と言えるでしょう。自動車デザインには、その時代ごとの「流行」や「トレンド」が存在します。特に2020年代初頭は、高級SUV市場において「スポーティさ」と「エレガンス」の両立が強く求められる時代です。
その結果、フェラーリとトヨタというまったく異なるメーカーであっても、ユーザーのニーズや技術的制約から導き出された答えが、似たようなデザイン言語だったとしても不思議ではありません。
さらに、風洞実験による空力最適化、LED技術の進化、SUV需要の高まりなど、同じような開発環境と消費者ニーズのもとでデザインされた車が、一定の類似点を持つことは自然な流れです。
ですので、「プロサングエとクラウン、どっちが先?」という問いに対しては、「どちらも同時期に、異なる哲学で作られたが、同じ時代の空気を反映した結果似てしまった」というのが、もっとも納得感のある答えなのかもしれません。
外観・内装デザインの違いを徹底比較
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フロントグリルとヘッドライトの表現
プロサングエとクラウンスポーツの「似ている」と言われる最大の理由のひとつが、フロントフェイスの印象です。ただし、よく見るとそのデザインにはそれぞれのブランドらしい個性がしっかりと表れています。
プロサングエは、フェラーリらしい低く構えたスタンスに加えて、シャープで細身のLEDヘッドライト、空力性能を追求したバンパー形状、そして幅広で存在感のあるグリルを備えています。このグリルは、フェラーリが誇る「トライローブ」デザインの進化系とも言えるスタイルで、見る人に圧倒的なパフォーマンスとスポーツ性を予感させます。
一方で、クラウンスポーツはトヨタが誇るラグジュアリー感と先進性を両立させたデザインです。縦長の六角形グリルが特徴で、堂々とした印象を持たせながら、細く伸びたLEDヘッドライトがシャープさと現代的なスタイリッシュさを演出。全体としてはSUVらしい力強さを出しつつ、クラウンとしての品格を崩さない絶妙なバランスに仕上がっています。
つまり、どちらも“存在感のあるグリルとシャープなライト”を使っていますが、その表現の仕方はまったく異なり、フェラーリは「スポーツ性」、トヨタは「高級感と威厳」にフォーカスしているのがポイントです。
ボディサイズとシルエットの違い
ボディ全体のサイズやシルエットにも、プロサングエとクラウンスポーツのキャラクターの違いが明確に出ています。
プロサングエは全長4973mm、全幅2028mm、全高1589mmというサイズ感で、SUVとしては低めのシルエットを採用し、フェラーリらしい躍動感のあるラインが特徴です。筋肉質なフェンダーや滑らかに流れるルーフラインなど、スポーツカーのDNAを色濃く残しつつ、SUVとしての実用性を両立しています。
クラウンスポーツは全長4720mm、全幅1880mm、全高1565mmと、プロサングエよりややコンパクトですが、ルーフラインはよりクーペ的で、視覚的にはより伸びやかに見えるのが特徴です。リアまわりにかけてのボリューム感もあり、エレガントでありながらSUVとしての存在感も失っていません。
このように、プロサングエは「低くてワイド」、クラウンスポーツは「引き締まって優雅」という印象。どちらも空力を意識したライン取りですが、プロサングエは「走り」、クラウンは「高級な移動空間」を表現していると言えるでしょう。
内装素材・操作系レイアウトの個性
インテリアに関しては、プロサングエとクラウンスポーツで大きく性格が異なります。
まずプロサングエは、フェラーリ伝統の“ドライバー・ファースト”な設計が貫かれており、メーターやスイッチ類はすべて運転席に向けてレイアウトされています。軽量化のためにカーボンファイバーやアルミ素材がふんだんに使われており、質感は高いですが、あくまでスポーティな空間という印象です。シートはバケットタイプでホールド感があり、高速走行時でも安定したドライビングをサポートします。
一方、クラウンスポーツの内装は、快適性と高級感を重視した空間づくりが特徴です。高品質なレザーやスエード調素材、ウッドパネルなどが使われており、特に後部座席にも十分なレッグルームが確保されています。また、ディスプレイや操作系はタッチパネル化が進み、直感的な使い勝手を重視。静粛性にもこだわっており、上質な乗り心地を提供してくれます。
両車ともに高級SUVであることに違いはありませんが、プロサングエは“走るための空間”、クラウンスポーツは“くつろぐための空間”という対照的な設計思想がうかがえます。
性能スペックと走行フィーリングの違い
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プロサングエの800馬力V12 vs クラウンの実用ハイブリッド
性能面では、プロサングエとクラウンスポーツはまったくの別物と言ってよいでしょう。
プロサングエは、フェラーリが誇る6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンを搭載。最高出力はなんと725馬力(欧州仕様では800馬力超)を誇り、0-100km/h加速はわずか3.3秒という驚異的なスペックです。このパワートレインは、まさにフェラーリのスーパーカーそのものであり、SUVであってもスポーツカー以上の走りを楽しめるのが最大の魅力です。
対してクラウンスポーツは、2.5リッターのハイブリッドシステムもしくは2.4リッターターボエンジン+モーターの「デュアルブーストハイブリッド」を搭載し、最大出力は約250馬力程度。加速性能は必要十分で、街乗りから高速道路まで幅広いシーンで扱いやすく、なおかつ環境性能にも優れています。
このように、プロサングエは「刺激とパワーの塊」、クラウンは「日常を快適に過ごすための上質な動力」という違いが明確です。
駆動方式と燃費性能のギャップ
駆動方式と燃費性能にも、両車の性格の違いがはっきりと出ています。
プロサングエは、フェラーリ独自の「4RM-S(四輪駆動システム)」を搭載し、後輪駆動のような鋭いハンドリングを保ちつつ、前輪にも適切に駆動力を配分することであらゆる路面で優れたトラクション性能を発揮します。ただし、V12エンジンということもあり、燃費性能はかなり低めで、日常使いを意識した設計とは言えません。
一方、クラウンスポーツはトヨタの「E-Four(電動四輪駆動)」やハイブリッドシステムを採用しており、燃費はWLTCモードで15km/L以上と、非常に優れた経済性を実現しています。また、雪道や雨天時の安定性も高く、ファミリーカーとしての信頼性も兼ね備えています。
つまり、プロサングエは「走りに全振り」、クラウンは「効率とバランスを重視」と言えるでしょう。
乗り心地とハンドリングの方向性の違い
乗り心地やハンドリングについても、プロサングエとクラウンではアプローチがまったく異なります。
プロサングエは、フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)や電子制御アクティブサスペンションを搭載しており、俊敏なコーナリング性能とフラットな乗り味を両立させています。ステアリングは超クイックで、SUVとは思えない軽快さと正確性があります。サーキット走行すら可能な仕上がりで、運転好きな方にはたまらないでしょう。
クラウンスポーツは、しなやかで上質な乗り心地を追求しており、振動の吸収性や静粛性に優れています。ステアリングも穏やかで扱いやすく、長距離ドライブでも疲れにくいのが魅力です。アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストといった先進運転支援機能も充実しており、快適で安全な走行が可能です。
つまり、プロサングエは「ドライバーのためのマシン」、クラウンは「同乗者も含めた快適な移動空間」として、方向性がはっきりと分かれているのがわかります。
価格差とターゲット層の違い
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約10倍違う車両価格の理由
プロサングエとクラウンスポーツ。この2台の車両価格を比べると、その差に驚かれる方も多いかもしれません。プロサングエの価格は約4000万円〜5000万円。一方、クラウンスポーツはグレードにもよりますが、おおよそ500万円〜700万円台と、実に約10倍の開きがあります。
この価格差の大きな理由は、まずブランドバリューの違いにあります。フェラーリはイタリアのスーパーカーメーカーとして世界的なステータスを持ち、その価格には「エンブレムの価値」も含まれています。プロサングエはフェラーリ初のSUVであり、希少性も非常に高い。搭載されているのはV12自然吸気エンジンで、800馬力を超える出力とともに、すべてのパーツが高精度かつ少量生産によって作られています。
対してクラウンスポーツは、量産前提の車両として高級感とコストパフォーマンスを両立しており、日本国内でも入手しやすく、グローバル展開を見据えた価格帯に設定されています。ハイブリッドエンジンやデュアルブーストターボのような先進技術は採用されているものの、製造・整備体制の効率化により価格が抑えられています。
つまり、プロサングエの価格は「性能・素材・ブランドの極み」であり、クラウンスポーツは「上質と実用性のバランス」によって実現されたものなのです。
想定されるオーナー像と使用シーン
価格が大きく異なる2台ですが、それに伴って想定されるオーナー像もまったく異なります。
プロサングエのオーナー層は、明らかに富裕層の中でもさらに限られたハイエンドユーザーです。スーパーカーのような性能をSUVの形で手に入れたい、あるいは「フェラーリを日常的に使いたい」という強いこだわりを持つ人に向けて設計されています。使用シーンとしては、都市部の高級マンションの地下駐車場、高級リゾート地への移動、あるいは美術館やパーティー会場のエントランスなど、まさに「見せるための車」としての役割が大きいでしょう。
一方で、クラウンスポーツのユーザー層はより現実的かつ広範囲です。30〜50代のビジネスマン、ファミリー層、あるいはセカンドカーとしての購入も視野に入れることができます。高級感のある乗り味を日常の移動にも取り入れたいというニーズに応える一台で、街中の走行から高速道路でのロングドライブまで、実用性を重視した設計が評価されています。
要するに、プロサングエは“人生で数回の特別な買い物”として、クラウンスポーツは“日々の中に上質を取り入れる選択”として、それぞれのユーザーの価値観を体現しています。
維持費とコスト面の比較
購入時の価格差も大きいですが、実は維持費にも明確な差があります。
プロサングエの場合、V12エンジン搭載による高燃費(燃費はリッター3〜4km程度とも言われます)に加え、オイル交換ひとつ取っても20万円前後かかることもあると言われています。また、タイヤやブレーキパッドなども専用品で高額なうえ、年間数十万円単位の整備費がかかることも珍しくありません。車検費用も輸入車専門ディーラーでの対応が必須となるため、非常に高額になります。
一方のクラウンスポーツは、トヨタの最新ハイブリッドシステムや電動4WD(E-Four)を搭載しており、燃費はリッター15km以上。税金も一般的な国産車と同様で、部品の調達や整備も全国のディーラーで対応できるため、長期的に見てもコストパフォーマンスに優れています。メンテナンスパッケージや保証プランも充実しているため、安心して長く乗れる仕様となっています。
つまり、購入後にかかる維持コストでも両者は大きく異なり、プロサングエは「所有すること自体が贅沢」、クラウンは「所有しながらも日常を彩る現実的な選択」と言えるのではないでしょうか。
最終結論:プロサングエとクラウンスポーツは“似て非なる”存在
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見た目が似ていても中身はまったく違う
ここまで比較してきたように、プロサングエとクラウンスポーツは、見た目の印象では「ちょっと似てるかも」と思わせる部分があるものの、その中身はまったくの別物です。
プロサングエは、スーパーカーの魂を持つラグジュアリーSUVであり、フェラーリの技術力とブランド哲学が凝縮された存在。V12エンジンという象徴を搭載し、「運転を楽しむ」ことに最大限の価値を置いた一台です。
対してクラウンスポーツは、「日常の中で高級感を味わう」ことを目的に設計されており、静粛性・燃費・操作性など、実用面での完成度が非常に高く、ドライバーだけでなく同乗者の快適性も重視した設計となっています。
つまり、見た目は似ていても、その成り立ちや思想、使われ方はまったく異なるという点が、この2台の“真の違い”なのです。
両車が象徴する“ラグジュアリーSUV”の未来像
興味深いのは、この2台がともに「ラグジュアリーSUV」の未来像を象徴しているという点です。
プロサングエは、ハイパフォーマンスとラグジュアリーの融合という新しいカテゴリーを切り拓いた存在です。フェラーリがSUVを作るという事実自体が話題性に富み、今後の超高級SUV市場をさらに加速させるきっかけになるでしょう。
一方クラウンスポーツは、より広範囲なユーザーに「ラグジュアリーとは何か?」を再定義するようなモデルです。高級車でありながら日常使いに適しており、価格帯や環境性能においても多くの人が手に届くバランス感が魅力。こうしたモデルが、今後のラグジュアリーSUVの主流になる可能性もあります。
それぞれのアプローチは違えど、「高級SUVをどう楽しむか?」という新たな価値観を提示してくれているのが、両車の共通点でもあります。
あなたにはどちらが向いている?
では、最終的にあなたにとってどちらが「正解」なのでしょうか。
もし、クルマに“感動”や“ステータス”を求める方、走りそのものを楽しみたい方、そして唯一無二の存在感を大切にされる方には、フェラーリ・プロサングエがふさわしい選択です。価格も維持費も高額にはなりますが、それを超える“満足”が確実に手に入ります。
一方、毎日の通勤や家族との週末ドライブ、快適さと実用性、そして長期的なコストパフォーマンスを求める方には、クラウンスポーツが非常に魅力的です。「少し贅沢な日常」を目指す方にはぴったりの一台と言えるでしょう。
似ているようで、実は全く違う2台。あなたがどんな価値観を大切にしているかで、選ぶべき一台は自然と見えてくるはずです。
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