「またリコール?」——そう思った方も多いかもしれません。マツダCX-60は2022年の発売以来、累計9回以上のリコールが発生し、約34,000台が対象となっています。
再始動できないエンジン、ギクシャクするトランスミッション、電装系の誤作動など、オーナーを悩ませる不具合は少なくありません。
本記事では、9回目のリコールに至った背景やトラブルの中身をはじめ、実際のユーザーの声、他社SUVとの比較、そしてマツダが講じた対応策と2025年モデルの改良内容まで、徹底的に解説します。「CX-60は本当に買っても大丈夫なのか?」——その答えを探している方は、ぜひ続きをご覧ください。
CX-60は本当に“リコールだらけ”?——9回目のリコールの背景と全体像
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リコール発生の経緯と累計件数(34,000台以上が対象)
マツダCX-60は、2022年に登場した際から注目を集めたDセグメントSUVですが、その一方で度重なる不具合とリコールの多さが話題となっています。実際に、発売からわずか約2年の間に「9回以上」のリコールが発生しており、対象となった車両は累計で約34,000台にも及びます。この数字は、同クラスのSUVと比べてもかなり多く、例えばトヨタRAV4では同時期に3件程度のリコール件数しか記録されていないことからも、CX-60のリコール頻度が特異であることが分かります。
リコールが相次いだ主な要因は、トランスミッション制御の不良や、ハイブリッドシステムのエンジン再始動トラブル、さらには電装系の誤作動といった、クルマの中核に関わる重大な不具合です。特に、アイドリングストップ後にエンジンがかからないという問題は、安全性にも関わるとして多くのオーナーから不満の声が上がりました。
こうした背景には、マツダが新たに導入した後輪駆動プラットフォームや8速AT(トルクコンバーター非搭載)といった挑戦的な設計思想も関係していると考えられます。欧州を意識したパフォーマンス志向の一方で、日本の道路環境やユーザーの使い方にマッチしきれていない部分があったことも、結果的にリコール多発につながったと言えるでしょう。
9回目のリコールで何が起きた?トラブル内容と対策
2024年に発生した9回目のリコールでは、主に電装系とパワートレインに関連した不具合が対象となりました。特に問題視されたのは、電源供給ユニットの制御エラーによって、インフォテインメントシステムのフリーズやエアコンの誤作動、メーター表示の消失といった電装系のトラブルが多数報告された点です。これにより、ドライバーが走行中に情報を確認できなくなるという危険性も指摘されました。
また、9回目のリコールでもエンジンの再始動トラブルや、トランスミッションの変速ショックについての改善措置が講じられました。マツダは、これらの問題に対して制御プログラムの更新や、必要に応じてハイブリッドバッテリーの制御システムそのものの交換を実施。特にエンジン制御に関しては、アイドリングストップ後の再始動処理の見直しが行われたことで、一定の効果があったと報告されています。
ディーラーでは、これらの対応を無償で行っており、マツダとしても公式に「2025年モデルでは大幅な改善が見込まれる」とアナウンスしています。しかし、SNSや口コミサイトでは「一部の問題は完全には解決されていない」との声も根強く、根本的な信頼回復にはまだ時間がかかりそうです。
主な不具合の実態とその深刻度
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再始動できないエンジントラブル
CX-60の中でも特に深刻とされているのが、エンジンが走行中またはアイドリングストップ後に再始動できなくなるというトラブルです。この現象は主にマイルドハイブリッドモデルで報告されており、原因はバッテリー制御システムやエンジン制御プログラムの不具合とされています。
「交差点で止まったまま動かなくなった」という声や、「信号待ちの後に再始動しないため後続車に迷惑をかけた」といったSNS上の投稿からも、この不具合が実際の走行に与える影響の大きさがうかがえます。加えて、寒冷地や渋滞の多い都市部では、このような再始動不良が頻発するリスクも高まるため、日常使いでの不安要素になっていることは間違いありません。
マツダはこの問題に対して、ソフトウェアのアップデートやバッテリー制御ユニットの交換などを進めていますが、完全に再発防止が図られたわけではないようです。実際、リコール後も「症状が改善しなかった」という報告も見られ、改善の効果には個体差がある可能性も否定できません。
ギクシャクするトランスミッションの不満
CX-60は8速ATを搭載していますが、このトランスミッションはトルクコンバーターを使用しない新設計であることが特徴です。その結果、低速走行時や発進時にギクシャクした挙動が目立つという声が多くのオーナーから挙がっています。
「発進時にスムーズに加速できない」「信号スタートでカックンとなる」といった具体的な不満は、CX-60に試乗した多くのユーザーが感じる部分であり、レビューサイトやブログでも繰り返し指摘されています。さらに、渋滞時などの低速域ではこのギクシャク感が強調され、運転の快適性を大きく損なってしまうケースも少なくありません。
マツダはこの問題にもソフトウェア更新による制御プログラムの見直しを進めており、ある程度の改善は図られているようです。ただし、そもそもの機構的な設計が原因とされるだけに、完全な解決には限界があるとも言われています。今後のマイナーチェンジや2025年モデルでの対応が注目されるポイントのひとつです。
ブラックアウト・誤作動など電装系の不具合
CX-60で多数報告されている不具合の中でも、電装系のトラブルは特に頻度が高く、深刻な問題のひとつです。具体的には、インフォテインメントシステムのブラックアウトやエアコンの誤作動、メーターの表示不良といった現象が挙げられており、2022年からのリコール対象台数約34,000台のうち相当数がこの電装系不具合を含んでいます。
インフォテインメントのブラックアウトは、走行中に突然画面が真っ暗になり、ナビゲーションやバックカメラ、オーディオなどの操作が一切できなくなるというものです。特に高速道路や夜間走行中にこの症状が発生すると、ドライバーに大きな不安とストレスを与えることになります。また、エアコンが勝手にオンオフを繰り返す、メーター表示が一時的に消失するといった現象も、視覚的な混乱や操作ミスを引き起こしかねません。
これらの電装系トラブルの原因としては、ダッシュボード内に設置された電源供給ユニットのエラーや、制御ソフトウェアの不具合が指摘されています。マツダではリコールを通じて、該当ユニットの交換やソフトウェアのアップデートを実施し、改善に取り組んでいる最中です。しかし、競合記事のオーナー口コミにもあるように、アップデート後も「完全には治らなかった」「また不具合が出た」といった声も見られ、根本的な対策にはまだ道半ばという印象も否めません。
特に2022年から2023年初期モデルでの報告が多く、購入を検討する方にとっては、「リコール対応済みかどうか」の確認が非常に重要です。今後のアップデートや年次改良による安定化に期待したいところですが、現時点ではユーザー自身が不具合の兆候に敏感になることも求められます。
ハンドル操作や乗り心地の問題
CX-60の走行性能は高く評価される一方で、「運転してみて初めて気づく」ような違和感も報告されています。とくに多くのオーナーが指摘しているのが、ハンドル操作時のフラつきやパワーステアリングの不安定さ、そしてサスペンションの硬さによる乗り心地の悪さです。
まず、ハンドルについては、直進時にハンドルがふらつく、妙に重たく感じるときがあるといった声が散見されます。これはパワーステアリングの制御不良や、電動アシストの設定に関するソフトウェアのチューニングが影響していると考えられています。特に長距離運転や高速走行時には、こうした微妙な違和感がドライバーの集中力や疲労感に直結するため、無視できないポイントです。
加えて、CX-60は欧州向けに設計された後輪駆動ベースのシャシーと硬めのサスペンション設定を採用しており、その結果として、「段差を乗り越えるたびに衝撃がダイレクトに伝わる」「後部座席がとにかく跳ねる」といった不満が挙げられています。とくに日本の都市部での利用を想定した場合、舗装の状態や交差点の多さを踏まえると、この乗り味は合わないと感じる方もいるかもしれません。
ただし、これらの指摘を受けて、マツダは2025年モデルにおいてサスペンションのチューニングを見直す方針を打ち出しています。特にリアシート周辺の快適性改善を図ることで、ファミリーユースにも耐えうる乗り味への変化が期待されています。とはいえ、現在販売されているモデルについては、試乗時にハンドルの感触や乗り心地を丁寧に確認することが重要です。
ユーザーのリアルな声——SNS・ブログ・みんカラから読み解く
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購入者の不満と不安の実例
CX-60に対するユーザーの声を調べると、SNSやブログ、そして車好きの定番サイト「みんカラ」において、多くのリアルな不満の声が寄せられています。特に目立つのは、「期待して買ったのに不具合続きだった」という失望感と、「安全性に関わる不具合があったのに、ディーラーからの説明が不十分だった」といった対応への不信感です。
たとえば、あるユーザーは「納車1週間でトランスミッションがギクシャクし始め、ディーラーに持ち込んでも『様子を見てください』と言われた」と投稿。また別の方は「エアコンが真冬に突然切れ、画面もブラックアウト。家族で出かけていたのに本当に困った」と体験談を共有しています。こうした声からも、CX-60の不具合が日常生活に与える影響は小さくないことが分かります。
さらに、「リコール対応後も改善しない」「乗り心地の悪さは想像以上だった」など、一度感じた不満が継続するケースも多く見られます。メーカー側の対応に不満を感じているユーザーもおり、「マツダは好きだけどCX-60は2度と買わない」という厳しいコメントさえ存在します。
もちろん、こうした声が目立つのは、ある意味「期待が大きかった証拠」とも言えます。しかし、購入を検討する側にとっては、実際のオーナーが何に困り、何に失望したのかを具体的に知ることが重要な判断材料になります。
ポジティブな評価にも注目すべき?
ネガティブな意見が多く目立つ中で、CX-60を高く評価しているユーザーも確かに存在します。特に多く見られるのは、「走行性能」「加速の力強さ」「インテリアの高級感」に関する好意的なコメントです。
「3.3L直6ディーゼルの加速は他車とは比べものにならない」「FRベースの走りはBMWを意識しているだけあって気持ちいい」「インテリアの質感は国産車トップクラス」といった評価が並びます。特に走行性能に関しては、CX-60の最大の魅力とも言えるポイントであり、スポーティでダイナミックな走りを求めているユーザーには強く支持されています。
また、納車直後に感じた違和感が、数週間運転しているうちに気にならなくなったという意見や、ソフトウェアアップデート後に症状が改善したといった声もあり、必ずしも全員が不満を抱えているわけではないことが分かります。
購入を検討する際には、こうしたポジティブな評価にも目を向けることが重要です。CX-60が合うかどうかは、乗り方や価値観によって大きく異なります。だからこそ、試乗や情報収集を通じて、**自分にとっての「許容できるポイント」と「許せない問題点」**を見極めることが、満足度の高い購入につながると言えるでしょう。
他車種との比較で分かるCX-60の「異常なリコール頻度」
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RAV4やCR-Vと比較しても多すぎる?
CX-60のリコール件数は、他の国産SUVと比べても明らかに多く、その頻度には驚かされます。具体的には、2022年の発売からわずか2年足らずの間に累計9回以上のリコールが実施され、対象台数は約34,000台にのぼっています。これは一般的な新型車と比較してもかなり異例の数字です。
たとえば、トヨタのRAV4(5代目、2019年以降)では、2023年時点でリコール件数は3件前後にとどまっており、ホンダのCR-V(現行型)も同様のレベルです。これに対してCX-60のリコール件数は約3倍。しかもその多くがエンジンの再始動不良や電装系の誤作動、変速ショックといった車両の根幹を揺るがすトラブルであることを踏まえると、その深刻度は一層高まります。
ユーザーにとっては、「納車後にすぐリコールが来た」「一度修理したのにまた不具合が出た」といった体験が珍しくなく、こうした事態がCX-60の評価を下げる一因となっています。高価格帯でプレミアムSUVを名乗るだけに、信頼性の面でもう一歩の改善が求められているのが現状です。
欧州向け設計が影響?国内ユーザーとのミスマッチ
CX-60の不具合やリコールがこれほど多発している背景には、車両の設計思想にも一因があると考えられます。というのも、CX-60はマツダの新世代「ラージ商品群」の第一弾として登場したモデルであり、設計の段階から欧州市場を強く意識した仕様となっているのです。
具体的には、FRベースの後輪駆動プラットフォームや直列6気筒ディーゼルエンジン、トルクコンバーター非搭載の8速ATといった構成は、ドライビングパフォーマンスを重視する欧州のユーザー向けのもの。実際に、欧州ではディーゼルモデルが高く評価されている一方で、日本国内ではこの「欧州向け仕様」が思わぬミスマッチを生んでいます。
たとえば、日本の都市部では渋滞や低速走行が多く、ストップ&ゴーの機会が頻繁です。しかし、CX-60はこうした環境で発進時のギクシャク感やアイドリングストップ後のエンジン再始動失敗といった問題を露呈しました。また、硬めのサスペンション設定も、欧州の高速道路には合っていても、日本の細かな段差が多い舗装路では「跳ねる」「突き上げが強い」と感じられてしまいます。
つまり、設計思想そのものが日本の一般ユーザーの使い方とズレていたことが、結果として多くの不具合やリコールにつながってしまったといえるでしょう。この点は、今後の年次改良やモデルチェンジの際に、国内ニーズをどう反映するかが問われる重要な課題です。
マツダの対応策と改善進捗
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エンジン制御・トランスミッション調整などの具体策
多発するリコールと不具合に対し、マツダは早い段階から各種制御プログラムの見直しやソフトウェアアップデート、部品交換といった対応を進めています。中でも注目されているのが、エンジン再始動不能問題や、トランスミッションのギクシャクした挙動に関する対策です。
エンジンの不具合については、マイルドハイブリッドシステムのバッテリー制御が問題とされ、プログラムの修正や、必要に応じて制御ユニットそのものの交換が実施されました。これにより、「信号待ちのあとエンジンがかからない」というような症状は一部で改善が見られています。
また、トランスミッションについては、低速走行時の変速ショックや加減速の違和感を抑えるために、8速ATの制御アルゴリズムを改良。さらに、加速時のレスポンスや発進時のスムーズさを向上させるソフトウェアのアップデートが行われました。
これらの対応策は全国のディーラーで無償で実施されており、マツダとしても2025年モデルではさらなる改良を加えると明言しています。ただし、「アップデート後も改善が不十分だった」というユーザーも一定数存在するため、効果の程度には個体差があることも念頭に置いておくべきです。
一部車両に見られた「エンジン交換」の実態
CX-60の不具合の中でも、特に重度とされるケースが「エンジン交換」を伴う修理対応です。これは、エンジンの燃焼効率に関わる不具合や、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)の異常動作に起因するもので、エンジン本体の振動が通常より大きくなったり、排ガス警告灯が頻繁に点灯するといった症状が発生していました。
こうしたケースでは、マツダが保証期間内であればエンジンを丸ごと新品に交換する対応を行っており、実際に「エンジンを載せ替えた」というユーザーの報告も複数存在します。ただし、これはあくまで一部の個体であり、大多数の車両には該当しないものの、購入を検討する側にとっては無視できない要素です。
また、交換にかかる日数や代車対応についてもディーラーごとに差があるため、信頼できる販売店選びやアフターサポートの確認が非常に重要になってきます。特に中古でCX-60を検討する方は、過去にこうした重大修理が行われた履歴があるかどうかを、しっかりとチェックしておくべきです。
マツダとしては、これらの重度不具合をふまえて、現在では品質管理体制の強化や生産ラインでの検査回数増加などにも取り組んでおり、メーカーとしての信頼回復にも本腰を入れ始めていることが伺えます。とはいえ、ユーザーとしては引き続き注意深く車両の状態を見守る姿勢が求められる状況です。
2025年モデルの改良ポイントと注目機能
CX-60に関してこれまで多くの不具合やリコールが指摘されてきた中、マツダは2025年モデルで大幅な改善を打ち出しています。その内容は単なる修正にとどまらず、「不具合の解消」と「走行性能・快適性の向上」を両立させる形で設計が見直されています。
まず注目すべきは、低速時のトランスミッションのギクシャク感への対策です。従来はトルクコンバーター非搭載の8速ATが原因で、発進時に違和感を感じるユーザーが多かったのですが、2025年モデルでは制御プログラムが刷新され、スムーズな加速が実現される見込みです。これにより、渋滞時や信号待ちからの発進といった日常のシーンでも扱いやすさが大きく向上することが期待されます。
また、マイルドハイブリッド車のエンジン再始動トラブルに関しても、バッテリー管理システムの再設計や電気系統の安定化が図られており、再始動できないという深刻な問題に対する抜本的な対応が進められています。
快適性の面でも大きな進化があります。これまで不満の多かった後部座席の乗り心地については、サスペンションのチューニングが見直され、衝撃吸収性が向上。これまで「跳ねる」「突き上げが強い」とされたリアシートの乗り心地に改善が期待できます。
電装系のトラブル対策としては、インフォテインメントシステムの安定化やエアコンの誤作動防止プログラムの実装が進んでおり、操作時のストレスが軽減されるよう配慮されています。
さらに、2025年モデルでは運転支援機能や安全装備の進化にも注目が集まっています。アダプティブクルーズコントロールや車線維持支援機能などが強化される予定で、マツダが掲げる「走る歓び」と「安心感」の両立に向けた一歩となるでしょう。
機能面でも「欧州車を意識した高級SUV」としての存在感を高める改良が施されており、CX-60の魅力は新たなフェーズに入ったと言えそうです。
「受注中止」や「販売不振」の噂の真相
※この画像はAIによって生成されたものです
一部グレードで見られた販売調整の背景
「CX-60は受注が止まっている」「販売が振るわず販売終了か?」という噂がSNSなどで広まっていますが、これには一部誤解も含まれています。実際のところ、CX-60の販売自体は継続しているものの、一部のグレードでは受注調整や一時的な販売停止が行われていることは事実です。
その背景には、不具合による顧客離れや在庫車両の調整問題があります。特に2023年から2024年初頭にかけては、連続するリコールによりユーザーの不信感が高まり、2024年1月の国内販売台数が1,000台未満に落ち込むという厳しい状況に陥りました。
また、販売台数が落ち込んだことでディーラー在庫が増加し、メーカー側が一部グレードの出荷調整を行ったことから「受注停止」と誤解されたケースもあります。実際には、特定のグレード(特に不具合の多かった初期仕様)でのみ受注が一時的に制限されていた状況です。
マツダとしても、品質改善が進む2025年モデルの投入に向けて、在庫車とのバランス調整を行っているタイミングであり、全体として販売終了のような動きではありません。
今後の販売戦略と流通状況
販売調整が行われた一方で、マツダはCX-60の再評価を促すために、2025年モデルでのイメージ刷新を狙っています。特に注目されているのが、国内向けにカスタマイズされた快適性と電装系の信頼性の向上です。これまで「欧州向けすぎた」という批判を受けて、より日本のユーザー環境に適した設計を目指している点は大きな転換と言えるでしょう。
加えて、ディーラーへの供給体制も見直されており、在庫管理の最適化やグレード構成の再編が進められています。今後は売れ筋グレードに絞った戦略的展開となる可能性が高く、特に改善済みの後期モデルの在庫が増えてくると見られています。
また、販売不振を逆手に取った積極的な値引き交渉やキャンペーンの展開も、流通のテコ入れ策として一部ディーラーで始まっており、ユーザーにとっては購入タイミングとして有利になる場合もあります。
今後の流通については、2025年モデルの反響とユーザー満足度の向上が鍵を握るでしょう。再発防止策が奏功すれば、CX-60は本来のポテンシャルを取り戻し、プレミアムSUV市場での再浮上も十分に狙える状況にあります。
購入前に絶対確認したいチェックポイント
※この画像はAIによって生成されたものです
試乗時に確認すべきトラブル予兆
CX-60の購入を検討している方にとって、試乗は「この車を買って後悔しないか」を見極める重要な機会です。特に過去の不具合やリコールを踏まえ、試乗の際にはいくつかの「兆候」をしっかりとチェックしておくことが重要です。
まず最優先で確認すべきなのが、低速時のトランスミッションの挙動です。特に信号発進や渋滞時の加減速で、ギクシャクした動きがないか、発進時に「カクッ」と衝撃が走らないかを意識的に観察してください。8速ATはトルクコンバーター非搭載のため、ここに違和感を覚える方が多いのです。
次に、電装系の挙動チェックも見逃せません。インフォテインメントシステムの反応速度やエアコンの設定切替、Bluetooth接続の安定性など、一連の電子機能がスムーズに動作するかを必ず確認しましょう。過去には走行中に画面がブラックアウトするトラブルも報告されています。
さらに、乗り心地についても注意が必要です。後部座席の振動やサスペンションの硬さを体感するには、できれば助手席や後部座席にも乗って、段差の吸収性や突き上げ感を確認するのがおすすめです。
また、可能であればアイドリングストップ機能からの再始動もテストしてみてください。過去に発生した「エンジンが再始動しない」というトラブルが再発していないか、購入前にチェックしておくことは大切です。
このようなポイントを意識して試乗すれば、カタログや営業トークだけでは見えない「CX-60の本当の姿」が見えてきます。購入後に後悔しないためにも、しっかり時間をかけて自分の感覚で判断することをおすすめします。
ディーラーでのリコール対応履歴確認法
CX-60の購入を検討する際、特に中古車や在庫車を選ぶ場合は、「この車両が過去にどのようなリコール対応を受けているか」を確認することが極めて重要です。なぜなら、これまでに9回以上のリコールが発生し、約34,000台が対象となったCX-60では、リコール未対応の個体を購入してしまうリスクが現実として存在するからです。
まず最も確実な確認方法は、マツダ正規ディーラーに車両の車台番号(17桁のVINコード)を提示し、リコール対応履歴の確認を依頼することです。ディーラーでは、専用のデータベースを用いて、該当車両に対して過去にどのリコールが通知され、どの項目が既に対策済みかを一覧で確認できます。なお、車台番号は車検証または車体本体(エンジンルームや運転席側のドア開口部)に記載されています。
また、マツダの公式ウェブサイトにも「リコール情報確認ツール」が用意されており、車台番号を入力することで、最新のリコール対象かどうかをユーザー自身で調べることも可能です。ただし、詳細な対応履歴(いつ対応されたか、何が交換・修正されたか)については、やはりディーラーでの確認が確実です。
特に、エンジンの再始動不良や電装系のブラックアウトといった深刻な不具合がリコールの対象となっていたため、購入前には「すべてのリコール対策が完了している個体」であることを明確にしておく必要があります。可能であれば、「整備記録簿」や「リコール対策完了証明書」の提示を依頼すると、より安心して購入判断ができるでしょう。
2025年モデルCX-60に期待できること
※この画像はAIによって生成されたものです
改良の核心は「快適性と信頼性」
CX-60の2025年モデルでは、これまでの不具合を踏まえた上で、マツダが「快適性」と「信頼性」を徹底的に強化する方向で改良を進めています。具体的には、これまで多くのユーザーから不満が寄せられていた低速走行時のトランスミッションのギクシャク感や、電装系の不安定さ、後部座席の乗り心地の悪さなど、日常使いで顕在化しやすい問題点に集中的に対応しています。
たとえば、8速ATの制御プログラムは大幅に見直され、発進時や渋滞時の加減速がよりスムーズに感じられるよう再調整される予定です。これにより、トルクコンバーターを持たない構造のデメリットを感じにくくなり、ドライバビリティが大きく向上することが期待されます。
また、電装系トラブルに関しては、インフォテインメントシステムの安定化や電源供給ユニットの構造強化が図られ、従来のような画面フリーズやエアコン誤作動といったストレスが大幅に軽減される見込みです。
乗り心地の面でも、サスペンションのチューニングが改善され、特に後部座席の快適性が向上するとされています。これは「欧州仕様すぎて日本の路面環境に合わない」と批判されていた点への具体的な改善策となっており、ファミリー層や都市部での利用にも配慮した設計に生まれ変わろうとしています。
今買うべきか、待つべきか?
「今すぐ買うべきか、それとも2025年モデルを待った方が良いか?」という疑問は、CX-60に興味を持つ多くの方が抱えている問題だと思います。この判断をするためには、いくつかの視点から検討する必要があります。
まず、価格と納期のバランスです。現在流通している在庫車や2024年モデルについては、リコールや販売不振の影響で値引き交渉の余地が広がっている可能性があります。ディーラーによってはキャンペーンを実施していることもあり、条件が合えば「割安にCX-60を手に入れる」ことも十分可能です。
ただし、その場合でも「リコール対応済みの車両かどうか」は必ず確認する必要があります。逆に言えば、対応がすべて完了し、改善された個体を安く購入できるなら「今買う」という選択肢も十分現実的です。
一方で、最新の改善が反映された完成度の高い個体を求めるなら、2025年モデルを待つ方が無難です。特に、これまでに発生した不具合がすべて設計段階で修正されたうえで新車として提供されることを考えると、「買ってから不満を感じるリスク」が最小限に抑えられるからです。
まとめると、「価格重視・条件付きなら今」「安心・快適性重視なら待ち」が基本的な判断軸となります。どちらを選ぶにしても、リコール対応やディーラーでの履歴確認、試乗による違和感のチェックは必須です。
結論:CX-60は買っても大丈夫か?——専門視点での最終判断
※この画像はAIによって生成されたものです
CX-60は、走行性能やデザイン性、直列6気筒エンジンの搭載など、多くの魅力を持つマツダのフラッグシップSUVですが、その一方で「不具合の多発」「リコールの頻度」「国内環境との設計ミスマッチ」といった問題を抱えてきました。
実際、2022年の発売以降、9回以上のリコールが発生し、約34,000台が対象となったことは、国産車としては異例の事態です。とくに、電装系やパワートレインの深刻なトラブルはユーザーの信頼を揺るがす要因となり、「買って後悔した」という声がSNSやレビューサイトでも数多く見受けられました。
しかしながら、マツダはこれらの課題に対して真摯に向き合い、リコールによる無償修理やソフトウェアのアップデート、エンジン交換を含む具体的な対応策を積極的に講じています。さらに、2025年モデルではハードウェア・ソフトウェアの両面で抜本的な見直しが行われ、初期トラブルの再発を防ぐ設計が進められています。
今後、再発防止策が定着し、ユーザー満足度が高まれば、CX-60は真の意味で「買ってよかった」と思える一台へと進化する可能性を十分に秘めています。現時点では、最新のリコール対応状況を確認し、自分の使用環境に合ったグレードを選ぶことが、後悔しない購入のための最善策と言えるでしょう。
結論として、CX-60は「購入前にきちんと調べれば買っても大丈夫なクルマ」です。ただし、それには情報収集と確認作業が欠かせません。信頼できるディーラーで、納得いくまで試乗し、対応履歴を確認した上で選ぶ――これが、失敗しないCX-60選びの鍵です。
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