「クラウンって、なんでヤンキーのイメージがあるの?」——高級セダンとしての格式ある歴史を持つトヨタ・クラウンですが、近年では「ヤン車」や「チンピラ車」といった言葉とともに語られることも少なくありません。
実際、街中や成人式などで派手にカスタムされたクラウンを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、クラウンがなぜヤンキー層に支持されるようになったのか、ゼロクラウンや型落ちモデルの魅力、地方特有の文化との関係、さらには「絡まれる」という噂の真相までを徹底解説します。
クラウンのカスタム文化や世間とのギャップ、セルシオとの比較も交えながら、今だからこそ知っておきたい“クラウン=ヤンキー車”の背景に迫ります。
なぜ「クラウン=ヤンキー」と言われるのか?
出典:TOYOTA
クラウンの歴史と本来の高級セダンとしての立ち位置
クラウンは1955年に初代モデルが登場して以来、トヨタのフラッグシップセダンとして日本のモータリゼーションを牽引してきた存在です。もともとクラウンは官公庁の公用車や企業の社用車としての需要が高く、「成功者の車」「格式あるセダン」としてのイメージが強く根付いていました。特に80年代から90年代にかけては、クラウン=社会的地位の象徴という認識が一般的で、新車価格も高額なことから、選ばれた人の乗る車というステータス性を持っていたのです。
12代目クラウン、通称「ゼロクラウン」(2003年〜)では、「ゼロからの再出発」をテーマに開発され、走行性能や安全性、内装の質感が飛躍的に向上。法人利用のみならず、個人ユーザーにも人気が広がりました。しかしこの頃から、徐々にクラウンの市場に変化が現れます。豊富な中古車在庫と、年式が古くなることによる価格の下落によって、一般層にも手が届く車へと変わり始めたのです。
高級車としての面影を残しつつも、中古市場では数十万円から購入可能となったクラウンは、次第に「高級感を安く手に入れられる車」として、様々な層に広がっていきます。これが、後に“ヤンキー層”と呼ばれるユーザーたちに支持されるきっかけとなりました。
いつから「ヤンキー車」のイメージが定着したのか?
クラウンが「ヤンキー車」「ヤン車」として知られるようになったのは、2000年代半ば以降のことです。その背景には、中古車市場における価格の急落と、カスタムブームの影響があります。とりわけ人気だったのが12代目ゼロクラウンで、V6エンジンの力強い加速性能、スポーティなデザイン、そして豊富なアフターパーツにより、カスタムベース車両として爆発的な支持を集めました。
特に「シャコタン(車高を極端に下げる)」「スモークフィルム」「大径メッキホイール」「爆音マフラー」などの派手な改造を施したクラウンが成人式や地元のイベントなどで頻繁に見られるようになり、「ヤンキーの愛車」というイメージが強く定着していきます。地方都市では、このような派手に改造されたクラウンが「目立ってなんぼ」という価値観にぴったり合った存在だったのです。
また、SNSやメディアでも「煽り運転」や「暴走行為」の車両としてクラウンが取り上げられるケースが少なからず存在し、その印象がさらに世間に広まりました。もちろん、全てのクラウンオーナーがそうではありませんが、一部の行き過ぎた行動が車のイメージ全体に影響を与えてしまったのは否めません。
「クラウンに乗っていると絡まれる」は本当か?
「クラウンに乗っていると絡まれる」「職質されやすい」などといった噂は、実際にネット上でもしばしば語られています。ただし、結論から言えば、クラウンに乗っているというだけで絡まれることは基本的にありません。
重要なのは「どんなクラウンに、どんな乗り方をしているか」です。例えば、極端に車高を下げ、スモークフィルムで真っ黒にし、大音量のマフラーを響かせながら走行していれば、それだけで周囲に威圧感や不快感を与えることがあります。そのような場合、他のドライバーや歩行者が警戒したり、場合によってはトラブルにつながる可能性もゼロではありません。
一方で、ノーマルのクラウンに落ち着いた外観で乗っていれば、むしろ「格式のある車に乗っている人」として認識されるケースのほうが多いです。クラウンは本来、社用車や官公庁での使用実績がある車であり、信頼と品格の象徴でもあります。
つまり、「クラウンに乗っているから絡まれる」というよりも、「どういうクラウンで、どんな振る舞いをしているか」がすべてなのです。世間のイメージに流されず、車の持つ本来の価値を理解し、上手に付き合っていくことが大切です。
ヤンキーに人気な理由とは?
出典:TOYOTA
見た目の威圧感と「強さの象徴」
クラウンがヤンキー層に好まれる最大の理由の一つは、その「見た目の威圧感」にあります。クラウンのフロントフェイスは、年式が進むごとにより堂々としたデザインへと進化しており、特にゼロクラウン以降は「押し出しの強さ」が目立つようになりました。この“いかつさ”は、いわゆるヤンキー文化において「強さ」「男らしさ」「目立つこと」を象徴する要素として非常にマッチしているのです。
特に人気なのは、ブラックのボディカラーにカスタムを施した仕様。黒いセダンは、ただでさえ存在感がありますが、車高を落とし、大径のメッキホイールを履かせ、スモークフィルムで包み込めば、まさに“威圧感MAX”な1台に仕上がります。実際、クラウンのような大型セダンは他車種に比べて車体が長く、視覚的なボリュームもあり、停まっているだけで他の車を圧倒するような雰囲気を醸し出します。
また、クラウンは「もともと高級車」というブランド力もあるため、「安い車ではなく、選んで乗っている」という自己主張も同時にできるのです。これにより、ヤンキー層にとっては“安くてカッコよくて強そうに見える”、まさに理想の車となっているわけです。
このように、クラウンの持つ「高級感」と「威圧感」の絶妙なバランスこそが、ヤンキーたちを惹きつけてやまない理由の一つだと言えるでしょう。
中古市場での価格帯と手に入れやすさ
クラウンがヤンキー層に支持される大きな理由のひとつが、「高級車なのに意外と安く手に入る」という点です。クラウンは新車で購入するとグレードによっては500万円以上する車種も珍しくありませんが、中古市場に目を向けると、その価格は大きく下がります。特に2000年代前半〜2010年代のモデル、たとえば12代目ゼロクラウン(2003〜2008年)や13代目クラウン(2008〜2012年)あたりであれば、状態や走行距離にもよりますが、30万円〜100万円ほどで購入可能なケースも多く見られます。
このような価格帯であれば、若年層や手軽に「高級車らしさ」を味わいたい人にとっては非常に魅力的です。特に、法人リースで使われていた個体が定期的に中古市場へ放出されているため、玉数も豊富で選択肢に困ることがありません。しかも、もともと社用車や公用車として使われていたクラウンは定期点検もしっかりされているケースが多く、状態が良好なものが見つかりやすいのも魅力のひとつです。
また、地方では車が生活必需品ということもあり、中古車市場も盛んです。とくに田舎では比較的走行距離の多い車が安価で手に入る傾向があり、「安く買って派手にカスタムする」というスタイルが定着しているのも納得です。このように、クラウンは“もともと高級車”というブランド力を持ちながらも、“中古で手頃に買える”というギャップが、ヤンキー層の心を掴んで離さない大きな要因となっています。
カスタム自由度の高さとその魅力
クラウンが“ヤン車”として人気を集める理由のひとつに、カスタムの自由度の高さがあります。クラウンはその車体構造やサスペンション設計が改造に適しており、ローダウンやエアロパーツの取り付け、大径ホイールの装着などがしやすい車種として知られています。中でも、12代目ゼロクラウンは「カスタムベース車」として絶大な人気を誇り、多くのカスタムショップやパーツメーカーが対応製品を展開しているため、選べるアイテムの幅が非常に広いのです。
代表的なカスタムには、極端なローダウン(シャコタン)、スモークフィルム、LEDネオン、VIP風のカーテン、爆音マフラーなどが挙げられます。たとえば、リアの窓に濃いスモークを貼り、車内に厚手のカーテンを装着することで「高級感」や「隠密性」を演出できます。また、車高調やエアサスを使えば、好みに合わせたスタンスを追求することも可能です。最近では、220系クラウンでもローダウン仕様を見かけることが増えてきました。
さらに、クラウンのような大型セダンは車幅や全長がしっかりしているため、エアロパーツを装着した際の“映え感”も抜群です。他車にはない“いかつさ”を演出できることから、「目立ちたい」「自分だけの1台を作りたい」というユーザーにとっては理想的な車と言えるでしょう。自由度の高いカスタムが可能で、なおかつパーツが豊富という点が、クラウンがヤンキー層に長年支持され続けている大きな理由のひとつなのです。
型落ちクラウンが熱い理由
※この画像はAIによって生成されたものです
クラウンの中でも、特に人気が高いのが「型落ちモデル」と呼ばれる旧型のクラウンです。中古市場では新車価格から大幅に値下がりしている一方で、クラウンならではの風格と走行性能をそのまま維持しているため、「お得感」が非常に強いのが特徴です。たとえば、ゼロクラウンや13代目クラウン、さらには14代目クラウン(2012〜2018年)などは、数十万円〜100万円台で購入可能なケースもあり、若者でも手が届く“憧れの高級車”として君臨しています。
また、型落ちクラウンは中古車としての流通量が多く、選びやすいというメリットもあります。特に、改造ベースとしての素性の良さや、カスタムパーツの豊富さ、さらに信頼性の高いエンジンや快適な乗り心地もあいまって、「見た目」「性能」「維持費」のバランスが非常に良い一台として認知されています。だからこそ、「どうせ買うなら現行モデルよりも型落ちのクラウンでしょ」という価値観が、今もなお多くのユーザーの中に根付いているのです。
「ゼロクラウン(12代目)」が支持される3つの要素
ゼロクラウン(2003年〜2008年)が“ヤンキー車”として最も強く支持されている理由は、大きく3つあります。まず1つ目は、そのデザインです。ゼロクラウンはそれまでの丸みを帯びたクラウンとは異なり、角張ったシャープなデザインと押し出しの強いフロントフェイスを採用しており、まさに“いかつさ”と“威圧感”を両立させたデザインとなっています。これが「強そう」「カッコいい」と評価される最大のポイントです。
2つ目は、走行性能です。ゼロクラウンにはV6エンジンを搭載したグレードがあり、パワフルな加速性能と静粛性を兼ね備えています。足回りも当時のクラウンとしては非常にスポーティに仕上がっており、「高級セダンでありながら走りも楽しめる」というバランスが、若者層の心を掴んだのです。
そして3つ目が、カスタムベースとしての優秀さ。ゼロクラウンは社外パーツが非常に充実しており、ローダウン・エアロパーツ・マフラー・ホイールなど、個性を出しやすい改造が可能です。とくにエアサスやVIP風カーテン、LEDネオンを使ったカスタムは“ヤンキー仕様”としての定番となっており、自分好みの一台を作りたいという人にとっては理想的な素材です。
この3つの要素を兼ね備えているからこそ、ゼロクラウンは現在でも“ヤンキー御用達のクラウン”として多くのカスタムファンに支持されているのです。
耐久性とメンテナンスのしやすさ
クラウンが長年にわたって支持されている理由のひとつが、その「耐久性の高さ」です。クラウンはトヨタのフラッグシップモデルとして、法人向けや公用車としても多く採用されてきた歴史があります。つまり、それだけ過酷な環境でも耐えうる信頼性が求められていたということです。特に、10〜13代目のクラウンはエンジンやミッションの耐久性に優れており、適切なメンテナンスを行えば20万キロ以上の走行も十分に可能です。
また、クラウンはメンテナンス性にも優れており、整備工場やディーラーでも取り扱いに慣れているため、修理やパーツ交換の際に困ることが少ないという点も安心材料です。中古パーツも豊富に流通しており、例えばヘッドライトやバンパーといった外装部品から、エンジン周りの部品まで比較的安価に入手可能です。これにより、故障時の修理費用を抑えることができ、長く乗ることを前提とした“コスパの良い選択肢”としての地位を確立しています。
「見た目がいかつくてカッコいい」だけでなく、「壊れにくくて長く乗れる」という実用性も兼ね備えているのが、クラウンが若者から年配者まで幅広く支持される理由なのです。
法人リース落ち車両の狙い目モデル
クラウンの中古車市場において、賢く選ぶなら「法人リース落ち車両」は見逃せない選択肢です。法人向けのリース車両は、定期的に整備が施されており、走行距離が多くてもメンテナンス履歴がしっかりしていることがほとんどです。とくにクラウンのような高級セダンは、企業の役員車や送迎車として使用されるケースが多いため、内外装の状態も良好なものが多く見つかります。
狙い目となるモデルは、13代目(S200系、2008〜2012年)や14代目(S210系、2012〜2018年)です。これらの世代は法人利用が非常に多く、台数も多いため中古市場での選択肢が豊富にあります。たとえば、走行距離10万km前後でも、価格は50万円〜100万円前後と非常に手頃で、装備も充実している個体が多いのが特徴です。
さらに、法人リース落ちのクラウンはノーマル状態であることが多く、カスタムベースとしても最適です。変に手が加えられていない分、自分の好みに合わせた改造を一から楽しめるというメリットもあります。「キレイで、整備済みで、安くて、カスタムしやすい」――この条件を満たすのが、法人リース落ちクラウンの最大の魅力です。
クラウンの「ヤンキー仕様」とは何か?
※この画像はAIによって生成されたものです
クラウンの「ヤンキー仕様」とは、ノーマル状態のクラウンをベースに、威圧感や個性を強調するような大胆なカスタムを施したスタイルのことを指します。よく見られるのは、「ローダウン」「爆音マフラー」「スモークフィルム」「VIPカーテン」「大径ホイール」などの装備が組み合わされた仕様です。
このような仕様のクラウンは、成人式や地元の祭りなどで目立つことを目的とした若者層に人気があり、田舎では特に“ヤンキー車”としてのイメージが定着しています。特徴としては、「迫力」「威圧感」「目立ちたがり」というキーワードが挙げられ、走行中だけでなく、停車中でも人目を引くことを重視したカスタムがされています。
一方で、こうした仕様は一般のドライバーや住民から見ると「怖そう」「危なそう」というイメージを持たれることもあり、クラウン全体の印象に影響してしまう一因ともなっています。つまり、クラウンの「ヤンキー仕様」は、強烈な自己表現であると同時に、賛否両論を巻き起こすスタイルでもあるのです。
ローダウン・シャコタンの基礎知識
クラウンのヤンキー仕様で真っ先に挙げられるのが「ローダウン」、つまり車高を極端に下げるカスタムです。中でも“シャコタン”と呼ばれるスタイルは、地面スレスレまで車高を落とすもので、見た目のインパクトを重視した改造として知られています。
シャコタン仕様は、車体が低くなることで重心が下がり、コーナリング性能が向上するというメリットもありますが、実用面ではデメリットも多く、段差に弱くなったり、乗り心地が悪化することも少なくありません。また、法的な最低地上高(9cm)を下回ると車検に通らなくなるため、注意が必要です。
クラウンはもともと乗り心地を重視した高級セダンですが、このローダウンによってまったく違うキャラクターの車に変貌します。特に12代目ゼロクラウン以降は、サスペンション構造がカスタムに適しており、車高調やエアサスを導入しやすい点も人気の理由となっています。
エアロ・ホイール・爆音マフラー…改造ポイントまとめ
クラウンのヤンキー仕様における改造の定番ポイントは、「エアロパーツ」「大径ホイール」「爆音マフラー」です。エアロパーツとは、車の前後バンパーやサイドスカートに取り付ける外装パーツで、見た目をスポーティにする効果があります。特にクラウンのような大型セダンに装着すると、迫力が一気に増します。
ホイールは、純正よりも遥かに大きな20インチ〜22インチのメッキホイールを装着することが多く、見た目のインパクトを強調するアイテムとして欠かせません。加えて、タイヤの扁平率も低くなるため、スタンス系カスタムとしての魅力もアップします。
そして、爆音マフラーの装着も定番です。これは排気音を大きくし、走行中の存在感を際立たせるためのカスタムですが、音量が大きすぎると騒音問題として取り締まりの対象になることもあるため、注意が必要です。
これらの改造は、見た目だけでなく「音」や「迫力」を強調することが目的で、乗る人の“個性”を強く反映するスタイルでもあります。そのため、クラウンの改造車は「ただの移動手段」ではなく、「自己表現のための一台」として楽しまれているのです。
スモークフィルム&VIPカーテンの実態
クラウンのヤンキー仕様で見逃せないのが「スモークフィルム」と「VIPカーテン」の存在です。これは外からの視線を遮るためのアイテムで、いかつい見た目と同時に「中が見えない」という“ミステリアスさ”を演出します。
スモークフィルムは、フロント・サイド・リアの各ガラスに貼られ、濃さによってはほとんど車内が見えなくなるほどです。あまりに濃すぎると違法と判断される場合もありますが、ヤンキー層の中では「プライバシー保護」と「威圧感アップ」を目的に人気です。
一方のVIPカーテンは、リアシートの窓に取り付けられた分厚い布製カーテンで、まるでリムジンのような“格上感”を演出できます。夜間に街中を走るクラウンにこの装備があると、まるで有名人や裏社会の人が乗っているかのような印象を与えることもあります。
このように、スモークフィルムとVIPカーテンは、クラウンを「ただの車」から「特別な空間」に仕立て上げるアイテムとして活用されており、ヤンキー仕様を完成させる上で重要な役割を担っているのです。
地方でクラウンがヤンキー車とされる理由
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地方では、クラウンが“ヤンキー車”として特に強く認識されている傾向があります。その背景には、都市部とは異なる車事情や文化、生活スタイルが関係しています。特に若者にとって、移動手段である車は“ファッション”や“ステータス”の一部であり、そこで目立つことが重要な価値観として存在しています。
クラウンは中古車市場で比較的安く手に入る高級セダンであるうえ、カスタムのベース車として非常に優れているため、「目立ちたい」「威圧感のある車に乗りたい」というニーズにぴったりマッチします。また、地方では車社会が根付いているため、日常的に長距離移動が多く、乗り心地や耐久性に優れたクラウンは実用面でも高評価です。こうした条件が重なり、地方の若者たちの“ヤンキー仕様クラウン”への憧れと支持が高まっていったのです。
田舎ならではの中古車事情と改造事情
地方においてクラウンが選ばれる大きな理由のひとつが、「安くて性能が良い中古車が豊富に手に入る」という環境です。都市部に比べて車の保有台数が多く、走行距離が長めな中古車が多く出回るため、ゼロクラウンや13代目クラウンなど、もともと新車で高価だったモデルが驚くほど手頃な価格で手に入ることがあります。
また、田舎では道路幅が広く、交通量も少ないため、改造車でも比較的自由に走れるという点も見逃せません。都市部では厳しい改造規制や近隣の目を気にする必要がありますが、地方ではそういったプレッシャーが少なく、大音量のマフラーや極端なシャコタンもある程度許容されているのが実情です。
さらに、地元の整備工場やショップでも、クラウンのカスタムに慣れているところが多く、パーツの入手や改造の相談がしやすいというのも地方ならではの利点です。こうした条件が揃っていることで、クラウンの“ヤンキー仕様”が地方で根強く支持される土壌ができているのです。
成人式・祭り文化とクラウンの関係
地方では、成人式や地元の祭りが「一生に一度の晴れ舞台」として重視される傾向があり、その場で“目立つこと”が若者たちの間で一種のステータスになっています。そんなとき、派手にカスタムしたクラウンはまさに「勝負車」として活躍するのです。
特に成人式では、真っ赤なスーツや学ランに身を包んだ若者たちが、爆音マフラーやLEDで光り輝くクラウンに乗って式場に登場する姿が、地方メディアやSNSなどで毎年のように話題になります。これは単なる悪目立ちではなく、「自分たちの文化」や「地元らしさ」を誇示するための手段でもあり、その中でクラウンは“映える車”として強く支持されているのです。
また、祭りの際にもクラウンは活躍します。山車を引く人の送り迎えや、集会の移動手段として使用されることが多く、ドレスアップされたクラウンが並んでいる様子は、一種の“地元の風物詩”とも言えるでしょう。こうした地域文化の中で、クラウンはただの移動手段ではなく、“祭りの主役級”の存在感を持つようになったのです。
地方民にとっての「いかつさ」とは?
地方に住む若者たちにとって、「いかつさ」とは単に怖さを意味するものではありません。それは“存在感”や“男らしさ”、“自分のスタイル”を象徴するポジティブな価値として捉えられていることが多いのです。クラウンの堂々としたボディライン、重厚なフロントマスク、大型セダンならではの車格は、まさにその「いかつさ」を体現するのにぴったりな車種と言えます。
特に黒のボディカラーにメッキホイール、車高を落としたクラウンは、そのシルエットだけで他を圧倒する存在感があります。地方では“見られてナンボ”という文化も根強く、信号待ちで並んだ時に目立つこと、街中を走った時に注目されることが一つの快感でもあります。
そのため、「クラウンに乗る=自分のスタイルを表現する手段」となり、“いかつさ”はそのまま「カッコよさ」や「誇り」として認識されているのです。都会では敬遠されがちなこの価値観こそが、クラウンが地方でヤンキー車として愛され続けている理由の根底にあります。
世間のイメージと現実のギャップ
※この画像はAIによって生成されたものです
クラウンは、もともと高級セダンとして長年愛されてきた車種であり、現代でもその性能や快適性においては高い評価を受けています。しかし一方で、「ヤンキー車」「チンピラ車」といったネガティブなイメージが付きまとってしまっているのも事実です。
これは一部の改造クラウンが暴走行為や煽り運転などのニュースで取り上げられることで、世間一般に悪い印象を与えてしまっていることが原因です。実際には、落ち着いた見た目のノーマルクラウンに乗っているビジネスマンも数多く存在し、むしろ上質なセダンとしての実力を活かして日々の仕事に活用している方も多いのです。
このように、「クラウン=ヤンキー車」というのはあくまでも一部のユーザーやシーンによるものであり、すべてのクラウンがそうであるわけではありません。イメージと実態には大きなギャップがあり、それを正しく理解することが、車を評価する上で重要な視点と言えるでしょう。
クラウンが「チンピラ車」と誤解される背景
クラウンが「チンピラ車」と揶揄されるようになった背景には、やはり一部の過激な改造車の存在が影響しています。極端に車高を下げた“シャコタン仕様”、爆音マフラー、真っ黒なスモークフィルムなどの外観は、一般の人から見れば「怖そう」「近づきたくない」という印象を与えてしまいます。
加えて、ニュースやSNSで煽り運転や違法改造車両の報道がされるたびに、「またクラウンか」といった声があがり、そのたびにネガティブなイメージが積み重なっていきました。特に12代目ゼロクラウンや13代目クラウンは、中古市場での流通が多く、改造車両として目立つ機会も多かったため、悪目立ちしやすいモデルとして知られています。
ただし、これはごく一部のユーザーによるものです。実際には、クラウンは公用車や社用車としての信頼性の高さから、官公庁や大企業でも多く採用されており、いわば“真面目な顔”も持ち合わせた車種です。この両極端な顔を持つクラウンが、時に誤解を生む要因となってしまっているのです。だからこそ、車そのものの性能や歴史を知ったうえで、イメージだけで判断しないことが大切です。
煽り運転とクラウン:一部報道の影響
クラウンが「煽り運転の車」としてイメージされるようになった背景には、やはりメディア報道の影響が大きく関係しています。特に2010年代後半から、煽り運転によるトラブルが社会問題として取り上げられるようになり、その際に登場する車両としてクラウンが映像や写真に映るケースが目立ちました。もちろん、すべての煽り運転にクラウンが関与しているわけではありませんが、「クラウン=改造車=危ない運転をする人」という先入観が広がってしまったのです。
その要因のひとつには、ゼロクラウン(12代目)や13代目クラウンが中古市場で非常に安価に手に入り、若者や改造車好きの層が手を出しやすかったことも挙げられます。そういった車両の中には、車高を極端に下げたり、爆音マフラーを装着したりといった改造が施され、見た目からして“いかつい”雰囲気を持つものが多く見られました。これが通行人や他のドライバーに警戒心を与え、「危なそう」「絡まれそう」といった印象を強めてしまったのです。
また、SNSなどでも「煽られた車がクラウンだった」といった投稿が拡散されることで、あたかもクラウン全体がそうであるかのように誤解が広がる構図ができてしまっています。しかし、これはごく一部のユーザーの行動によるもので、クラウンそのものが悪いわけではありません。実際には、マナー良く乗っているクラウンユーザーの方が圧倒的に多いのが現実です。
ノーマルクラウンは今でも「品格のある車」
“クラウン=ヤンキー車”というイメージが一部で根付いている一方で、ノーマル状態のクラウンはいまでも「品格ある高級セダン」として広く認識されています。特に14代目クラウン(2012〜2018年)や、15代目である220系クラウン(2018年〜)は、デザイン性・快適性・走行性能いずれをとっても高水準で、ビジネスマンやシニア層を中心に根強い人気を誇っています。
ノーマルのクラウンは内装の質感も高く、静粛性に優れた走行フィールを備えており、「移動そのものが贅沢な時間」と感じさせてくれる一台です。また、フロントグリルやボディラインにはトヨタのフラッグシップとしての威厳が感じられ、適度な存在感と上品さを両立している点も魅力です。
さらに、現行モデルでは安全装備も非常に充実しており、Toyota Safety Senseやレーダークルーズコントロール、プリクラッシュセーフティなど、現代のプレミアムカーとしてのスペックをしっかりと備えています。これにより、ノーマルクラウンは今も“信頼できる上質な車”として、家族用や長距離移動用の車として選ばれ続けているのです。
このように、一部の過激な改造車によって悪目立ちしてしまう部分はあるものの、本来のクラウンは「格式」「安全性」「快適性」を兼ね備えた、トヨタの誇るプレミアムセダンです。クラウンの本質を見極めれば、決して「ヤンキー車」などと一括りにできる存在ではないことが分かるはずです。
220系クラウンと最新モデルのカスタム事情
※この画像はAIによって生成されたものです
2018年に登場した15代目・220系クラウンは、それまでのクラウンとは一線を画すスポーティなデザインと走行性能で話題を集めました。そんな220系クラウンにも、じわじわと“ヤンキー仕様”を意識したカスタムの波が届きつつあります。ただし、従来のような過激なシャコタンや爆音マフラーといった「ザ・ヤン車」的なカスタムよりも、スタイリッシュかつ洗練されたモディファイが好まれる傾向が見られます。
220系はもともとのデザインが引き締まっており、純正状態でも十分に存在感があるため、カスタムは「より完成度を高める」方向にシフトしています。例えば、車高調でのローダウンや、20インチ以上の大径ホイールの装着、シンプルなエアロの追加などが定番です。内装も高級感があるため、あえていじらず外観に重点を置くスタイルが人気です。
とはいえ、まだまだ「いかつく仕上げたい」というニーズも一定数あり、地方のイベントや成人式では、220系をベースにした派手めなカスタム車も登場し始めています。つまり、最新型のクラウンでも、乗る人次第で“ヤンキー風”にも“上品仕様”にも振れるという柔軟性を持っているのが、クラウンの大きな魅力とも言えるでしょう。
スポーティ志向の220系、ローダウンの実態
220系クラウンは「より若々しく、スポーティに生まれ変わったクラウン」として設計されており、そのデザインや足回りはローダウンカスタムとの相性も抜群です。実際、カスタム愛好家の間では、220系クラウンに車高調やエアサスを導入して、フロントリップが地面ギリギリに来るような“スタンス仕様”に仕上げるケースが増えています。
この世代からは純正でスポーティなグリルやLEDヘッドライトを採用しており、あまり手を加えなくてもシャープな印象を与えられるのが特徴です。そのため、あくまで“純正+α”の控えめなローダウンが主流になっており、「下げすぎて実用性が犠牲になるようなカスタムは避ける」という流れもあります。
また、220系では上質な乗り心地や静粛性を損なわずにローダウンを楽しめるサスペンションパーツも登場しており、快適さとカッコよさを両立できるのも人気の理由です。過激さよりも“美しさ”を求めたローダウンこそが、220系クラウンにマッチする現代的なカスタムスタイルと言えるでしょう。
新型クラウンはヤン車になり得るのか?
2022年に登場した新型クラウン(クラウンクロスオーバー)は、これまでのセダンのイメージを覆すSUVライクなボディスタイルを採用しており、ヤンキー仕様という観点から見ると少し方向性が異なってきます。しかし、だからといって「ヤン車にならない」とは言い切れません。むしろ、派手な外装や大径ホイールが似合うクロスオーバータイプだからこそ、新しい形の“ヤン車文化”を切り開く可能性もあります。
現時点では、クラウンクロスオーバーを過激にカスタムしているユーザーはまだ少数派ですが、徐々にカスタムパーツも出回り始めており、「クラウン=いかつい車」の伝統を現代風にアレンジする動きも見えつつあります。たとえば、ブラックアウトしたフロントグリルや、車高調によるローダウン、メッシュ系ホイールの装着などが一部ユーザーの間で話題になっています。
また、新型クラウンスポーツやセダンタイプの復活モデルも登場し、こちらは今後の“ヤン車ベース車両”として注目を集める可能性があります。結論として、新型クラウンもそのポテンシャル次第で、また新しい「ヤンキー仕様クラウン」の時代を切り拓くかもしれません。伝統を受け継ぎながらも、時代に合わせて進化し続ける――それがクラウンという車の懐の深さなのです。
シャコタンの評価は?カッコいい派 vs ダサい派
クラウンのカスタムといえば外せないのが「シャコタン」、つまり車高を極端に落としたスタイルです。ヤンキー仕様の象徴とも言えるこのシャコタンスタイルですが、世間では「カッコいい」と感じる人と、「ダサい」と感じる人で意見が真っ二つに分かれています。
カッコいい派の意見として多いのは、まず「スタンスの美しさ」に対する評価です。地面ギリギリまで落とされたクラウンは、迫力と重厚感があり、特に大径ホイールとの組み合わせによって、他車を圧倒するビジュアルを生み出します。ゼロクラウンや220系のように元からスポーティなデザインの車体では、シャコタンがより映え、イベントやSNSでも“映える”カスタムとして人気を集めています。
一方で、ダサいと感じる人の理由には、「実用性のなさ」や「やりすぎ感」が挙げられます。車高を下げすぎることで、段差や縁石に引っかかりやすくなり、日常の運転に支障が出ることもしばしば。また、見た目が不自然になり「過剰な改造車=恥ずかしい」と感じる層も存在します。とくに年齢層が上がるほど、“快適性”や“上品さ”を重視する傾向があり、シャコタンへの否定的な意見も増える傾向にあります。
つまり、シャコタンの評価は「目的」と「好み」によって大きく変わります。とことん目立ちたい、ヤンキー文化やカスタムカーイベントを楽しみたいという人には“最高のスタイル”ですが、実用重視の人にとっては“やりすぎ”と映ってしまうのも事実です。
ヤン車界の二大巨頭:クラウンとセルシオ
※この画像はAIによって生成されたものです
日本のヤンキー車文化において、常に比較される存在が「クラウン」と「セルシオ」です。どちらもトヨタが誇る高級セダンでありながら、価格とカスタムのしやすさから“ヤン車”として圧倒的な支持を受けてきた2台です。それぞれのキャラクターには違いがあり、ファン層もやや異なりますが、共通して言えるのは「いかつくてカッコいい」を追求する人々の心を掴み続けているということです。
クラウンは日本国内向けに開発されてきたフラッグシップモデルであり、ゼロクラウン以降はスポーティな雰囲気が強まり、カスタムベースとしても支持を集めてきました。一方のセルシオは、1989年から登場し、レクサスLSの国内版という位置づけで、「最高級セダン」としての威厳を誇っていました。威圧感と高級感を兼ね備えたそのスタイルは、まさに“VIPカーの代表格”として君臨してきました。
このように、クラウンとセルシオはそれぞれ異なる魅力を持ちつつも、ヤンキー文化においては「どっちが最強か?」という議論が絶えないほどの人気を誇る二大巨頭です。
セルシオが愛される理由とクラウンとの違い
セルシオがヤンキー層に長年愛され続けている理由は、その“圧倒的な威圧感”と“高級車としての格の違い”にあります。もともとセルシオは、新車価格で800〜1000万円超というプレミアムな価格帯で販売されていた超高級セダンです。中でも人気なのは、2代目(UCF20系)や3代目(UCF30系)で、フルサイズボディの堂々たる存在感は、クラウンと比べてもワンランク上の風格を持っています。
クラウンが“高級でありながら手の届くセダン”であるのに対し、セルシオは“かつて一部のエリートしか手にできなかった車”というバックボーンがあり、それを中古で手に入れ、堂々と乗りこなすことが“カッコよさ”の象徴として捉えられています。さらに、セルシオは純正エアサスを搭載しているモデルも多く、ローダウンのカスタムがしやすいという点も人気の理由です。
つまり、セルシオはクラウン以上に“威圧的な存在感”と“元祖VIPカー”としての誇りを持った車であり、それがヤンキー文化の中で特別な位置を確立しているのです。
中古セルシオの価格帯と狙い目グレード
セルシオは新車当時は非常に高額だったモデルですが、現在の中古市場では手が届きやすくなっており、ヤンキー層やカスタム愛好家にとって狙い目の一台です。たとえば、UCF20系(1994〜2000年)は、走行距離や状態にもよりますが30万円台から購入可能で、パーツも豊富なため初心者にも扱いやすいモデルと言えます。
一方、UCF30系(2000〜2006年)は、内外装ともに高級感が増し、エアサス標準装備のモデルも多いため、カスタムベースとしてはさらに魅力的です。価格は50万〜100万円前後が相場ですが、程度の良い個体やカスタム済みの車両は150万円を超えることもあります。
特に人気が高いのは「C仕様」「eR仕様」などの上級グレードで、豪華な内装と快適装備が充実しているため、“VIPカー”としての価値をより高めてくれます。セルシオを狙うなら、このあたりのグレードをチェックするのが鉄板です。
クラウンvsセルシオ:どっちが「真のヤン車」か?
「クラウンとセルシオ、どっちが真のヤン車か?」という議論は、カスタムカー界では永遠のテーマとも言えるほど盛り上がる話題です。結論から言えば、どちらも“方向性の違うヤンキー車”としてそれぞれの魅力があります。
クラウンは、比較的若年層に支持されており、価格の安さ・パーツの豊富さ・スポーティなデザインといった理由から、「手頃に始められるヤンキー仕様」として圧倒的な人気を誇ります。ゼロクラウンや220系などは、そのままでもカッコいいフォルムを持っており、ローダウンやホイールカスタムで一気に“ヤン車感”が増すのが魅力です。
一方、セルシオはその威圧感と高級感が武器で、「本気でいかつく決めたい」層に選ばれています。クラウンが“攻めの若さ”だとすれば、セルシオは“貫禄と重厚感”という立ち位置。つまり、クラウンが“ヤンキー入門機”だとすれば、セルシオは“ヤン車の上級機”と言えるかもしれません。
どちらが“真のヤン車”かは、乗る人のスタイル次第。ただひとつ言えるのは、どちらも日本のカスタム文化において、長く愛され続けてきた伝説的な存在であるということです。あなたが選ぶのは、若さのクラウンか、威厳のセルシオか――その選択自体が“ヤン車の美学”なのかもしれません。
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