「新車では手が届かなかったBMW i8が、中古なら半額以下で買える」と聞けば、思わず心が動いてしまいますよね。でも、なぜあれほど高価だったi8がここまで安くなっているのでしょうか? そこには維持費の高さやバッテリー交換のコストといった、知っておきたい事情が隠されています。
この記事では、BMW i8の中古価格が安い理由から、実際に所有した場合の維持費、日常使いで感じる不便さ、そしてそれを補って余りある魅力まで、わかりやすく解説します。購入を検討されている方が「後悔しない選択」ができるよう、選び方のポイントも具体的にご紹介します。
なぜBMW i8の中古価格は安いのか?
BMW i8は、2014年に登場したBMW初のプラグインハイブリッドスポーツカーです。新車当時は2,000万円を超える価格帯で販売されており、最先端の技術と近未来的なデザインが話題を呼びました。しかし、現在では中古市場でその価格が大きく下落しており、2014年式の個体であれば800万円台から購入できるほどです。なぜ、これほどまでにBMW i8の中古価格は安くなっているのでしょうか? ここではその背景にある具体的な理由を解説していきます。
新車価格からの大幅な値下がりの実態
BMW i8の新車価格は、グレードやオプションにもよりますが、おおよそ2,000万円前後と非常に高額でした。しかし現在、発売初期の2014年〜2015年式の中古車は、なんと800万円台という価格で販売されているケースも珍しくありません。これは、新車時の価格と比較すると実に半額以下の水準です。
この大幅な値下がりの背景には、いくつかの要因がありますが、その中でも特に影響が大きいのが「中古車としての流通量」と「ランニングコストの高さ」です。どれほど性能が良くても、高級スポーツカーとしての実用性に疑問が残る点や、高額なメンテナンスコストへの懸念が価格下落に拍車をかけています。
さらに、初期型と後期型のスペック差も影響しています。たとえば、2018年以降の後期モデルではバッテリー容量とモーター出力が向上し、システム出力が362PSから374PSへアップしていますが、これにより旧型の価値が相対的に下がったのも要因のひとつです。
中古市場での供給過多と需要減少
BMW i8はそのデザイン性や先進性から、登場当初は富裕層を中心に大きな注目を集めました。しかし時間の経過とともに、日常的な利便性の低さや維持費の負担が明らかになり、所有を続けることへの懸念が高まったことで、手放すオーナーが増加。これにより、中古市場には多くのi8が流通するようになりました。
一方で、新たに購入を検討する人にとっては、実用性の問題や高コスト体質がネックとなり、需要が伸び悩んでいます。たとえば、後部座席の居住性の低さや、シザードア(ガルウィングドア)の開閉の不便さは、日常的に使用するには大きなストレスとなりえます。
このように、供給が多く、需要が限定的という市場構造が、中古価格を押し下げる大きな要因になっているのです。特に、街乗りや普段使いを重視する方にとって、i8はその美しさとは裏腹に“扱いづらい車”という印象を与えてしまっている点も無視できません。
高額すぎるバッテリー交換費用(約700万円)
BMW i8が中古車市場で安価に取引されている最大の理由が、このバッテリー交換費用の高さです。i8に搭載されているリチウムイオンバッテリーの寿命は一般的に7〜10年とされており、年式が古い中古車の場合、バッテリー交換が必要となるタイミングが迫っていることもあります。
驚くべきことに、その交換費用はなんと700万円以上にものぼると言われており、車両価格そのものに匹敵するほどの金額です。この費用感が、購入後の維持に対する不安を招き、買い手の数をさらに絞る結果になっています。
また、仮に今すぐ交換が必要でなくとも、バッテリーの劣化度合いが中古価格に大きく影響します。バッテリー診断機を使って状態をチェックしないと、思わぬ高額出費に見舞われるリスクもあるため、購入をためらう方が多いのです。こうした「バッテリーリスク」を価格に織り込む形で、販売価格が大きく下落しているのが現状です。
BMW i8の維持費が高い理由
価格が下がったとはいえ、BMW i8は元々が高級スポーツカー。購入価格が手ごろになった分、維持費が大きな負担となるケースも多くあります。特にi8はPHEV(プラグインハイブリッド)という特性上、ガソリン代だけでなく電気代や充電設備費用、特殊なメンテナンスコストも発生します。ここでは、具体的な維持費の中身を見ていきましょう。
年間維持費の目安:約30万円超の内訳
BMW i8の年間維持費は、おおよそ30万円以上が目安とされています。その内訳を詳しく見てみると、まず自動車税が76,500円(排気量1.5L相当)、車検や法定点検には5〜10万円程度が必要です。加えて、ハイオクガソリンを使うため、年間1万km走行すると燃料費だけで約16万円に達します(1L=160円換算、燃費10km/Lと仮定)。
さらに、電気モードでの走行を活用するためには200Vの充電設備が必要で、その設置費用は30〜50万円ほどの初期投資がかかります。毎月の電気代も5,000円前後増加する可能性があり、これも年間で6万円程度の負担になります。
加えて、輸入車ゆえの高額なパーツ代や、万が一の修理費も無視できません。例えば、モーター関連や電子制御系のトラブルは、修理に数十万円単位の費用がかかることもあります。
つまり、中古価格は下がっても、維持していくにはそれなりの覚悟と資金力が必要です。i8を維持するには「購入価格が安い=お得」という単純な図式が通用しないことを、しっかり認識しておくべきでしょう。
ガソリン代・電気代・充電設備のコスト
BMW i8はプラグインハイブリッド車(PHEV)という特性上、ガソリン代と電気代の両方が維持費に関わってきます。見た目は未来的でハイテクですが、経済面では意外とシビアな一面があります。
まず、ガソリン代ですが、i8はハイオク指定車であり、燃費はカタログ上で18.1km/L(WLTCモード)とされています。しかし、実際の街乗りでは7〜10km/L程度まで落ちることがあり、高速走行でも11km/L程度が実測されていることが多いです。年間1万km走行した場合、ガソリンだけで約16万円ほどの負担になる計算です(ハイオク160円/L換算)。
一方で、i8はEVモードでの走行も可能で、公称では55kmのEV走行距離があります。1回のフル充電にかかる電気代はおおよそ160円前後とされており、1kmあたりの走行コストは約3円程度。非常に経済的ですが、これを活用するには家庭に200Vの充電設備が必要です。この設備を導入するためには、初期費用として30〜50万円程度の工事費が必要となるのが一般的です。
さらに、月々の電気代も5,000円前後アップするとされており、年間にすると約6万円程度の電力コストがかかってきます。つまり、ガソリンと電気の両方をうまく活用しても、燃費面での圧倒的な優位性はそれほど大きくなく、維持費全体に占める割合は想像以上に高めなのです。
i8は「エコカー」としての一面を持ちながらも、実際には高性能スポーツカーとしての側面も強く、走りを楽しむほど燃費は悪化する傾向があります。この点を理解しておかないと、「見た目よりずっとお金がかかる車だった」と後悔することになりかねません。
点検・修理・保険料の実態
BMW i8を維持していく上では、燃料費や電気代だけでなく、点検費用や修理代、さらには保険料も重要なコスト要素となります。特にi8は輸入車であり、さらにプラグインハイブリッドという複雑な構造を持つ車両のため、整備費用が高額になる傾向があります。
まず、BMW正規ディーラーでの法定点検費用は、1回あたり5万〜10万円が相場です。エンジン、モーター、バッテリー、電子制御システムなど、点検すべき項目が非常に多く、国産車のような感覚で維持するのは難しいかもしれません。
部品代も高額で、たとえばライトユニットやセンサー類の交換では数十万円単位の出費が必要になるケースもあります。特にi8専用設計のパーツが多いため、互換品が少なく、ディーラーでの修理依存度が高いのが現実です。万が一事故などで大きな損傷を受けた場合、修理費が軽く100万円を超える可能性も十分に考えられます。
保険料に関しても、i8は高級スポーツカーのカテゴリーに入るため、任意保険料が高めに設定されがちです。運転者の年齢や等級にもよりますが、年間で15万円〜25万円程度を想定しておくと安心です。
これらの維持コストを合計すると、年間30万円を下回ることはまずなく、むしろ実際にはそれ以上になる可能性が高いです。購入前には、こうした維持費を冷静に見積もっておくことが、後悔しないための重要なステップと言えるでしょう。
実用性に難あり?日常使いのデメリット
BMW i8は、その近未来的なスタイリングと先進技術によって強烈なインパクトを与える車ですが、日常的に使うクルマとしては、いくつかの実用性に難点があります。特に注目すべきは、ドアの開閉の不便さや、後部座席・荷室スペースの少なさなど、日々の使い勝手に直結する部分です。
所有する喜びや走る楽しさは格別ですが、毎日乗る車として見ると「割り切り」が必要になるポイントが多く存在します。ここでは、その具体的なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
シザードアの開閉の不便さと事故時の懸念
i8の最大のアイコンとも言えるのが、シザードア(いわゆるガルウィングドア)です。これにより、まるでコンセプトカーのような印象を与えるデザインが実現していますが、使い勝手という面では大きな問題を抱えています。
まず、開閉には左右に広いスペースが必要なため、一般的な立体駐車場や狭い月極駐車場では非常に不便です。隣の車や壁との間隔が狭いと、ドアが途中までしか開かず、乗り降りが難しくなってしまいます。
さらに、万が一の事故で車体上部に損傷を受けた場合、ドアが開かなくなり、車内に閉じ込められるリスクも考慮する必要があります。実際に、交通事故でドアが変形し、運転席から脱出できなかったという事例も報告されています。
シザードアは確かに視覚的には魅力的ですが、現実の使用環境を考慮すると、デザイン重視の代償が大きすぎるという印象を持たざるを得ません。
狭すぎる後部座席とラゲッジスペースの少なさ
BMW i8は「4人乗り」とされてはいますが、後部座席の実用性はほとんどありません。全高がわずか1,291mmという超低重心設計のため、後席の頭上空間は極めてタイトで、大人が座るのはほぼ不可能に近いです。
シートの形状も簡易的で、実際には荷物置き程度の使い方をされることが多いです。大柄なドライバーが前席を後ろに下げると、後席の足元スペースは完全になくなります。
また、ラゲッジスペースも非常に小さく、日常の買い物や旅行には不向きです。リアトランクの容量は100L程度とされており、手荷物を少し積めばほぼ満杯になってしまいます。ロードスターの場合はさらにスペースが削られるため、積載性の面ではかなり不利です。
このように、BMW i8は「日常的に便利に使える車」というよりも、「特別な日に楽しむ贅沢なマシン」として割り切って付き合う必要がある1台です。使用目的が明確でなければ、日常のちょっとした不便さが次第にストレスになる可能性もあるため、ライフスタイルに合った活用方法を慎重に考えることが大切です。
通勤・家族利用に向かない理由
BMW i8はその見た目やパフォーマンスから「一度は乗ってみたい」と思わせる魅力的なスポーツカーですが、日常使い、特に通勤や家族利用といった実用的なシーンにはあまり向いていない車種です。理由は主に3つあります。
まず第一に、乗降性の悪さが挙げられます。i8は車高が非常に低く、全高わずか1,291mmのローボディ設計です。そのため、腰を大きくかがめないと乗り込めず、スーツやワンピースなどのビジネススタイルでは不便を感じることもあるでしょう。さらに、特徴的なシザードアは確かに目を引くデザインではありますが、狭い駐車場ではドアの開閉が難しく、通勤用のコインパーキングやマンションの立体駐車場などで扱いにくいのが実情です。
次に、家族で使うには後部座席と荷室の実用性が大きなネックとなります。i8は4人乗りとされていますが、実際の後席は大人が快適に座れるスペースではありません。身長のある男性はもちろん、子どもであっても長時間の乗車には不向きです。チャイルドシートの設置も難しく、ファミリーカーとしての役割はほとんど果たせません。また、ラゲッジスペースは100リットルほどしかなく、家族での買い物や旅行の荷物を積むにはかなりの工夫が必要です。
最後に、ランニングコストの面でも日常使用には向いていない一面があります。EVモードを使えば燃費は改善されますが、家庭に充電設備が必要であったり、スポーツ走行をすれば燃費は急激に落ちるため、維持費がかさむ傾向にあります。毎日の通勤に使えばその分劣化も早く、結果的に高額なバッテリー交換費用(約700万円)というリスクも現実味を帯びてきます。
このように、i8は「日常的に便利に使う車」というより、「所有する喜び」や「特別な場面での高揚感」を得るための車です。通勤や家族での利用を前提とした場合、その非実用性は決して見過ごせない要素となります。
BMW i8の魅力と強みとは?
BMW i8は維持費や実用性の面で厳しい評価を受けることもありますが、それでも多くの人々を惹きつけてやまない強力な魅力があります。それは、他のどんな車にもないデザイン性とパフォーマンス、そして「未来を先取りしたクルマ」としての存在感にあります。ここでは、i8ならではの3つの魅力をご紹介します。
近未来的デザインと芸能人も惚れる外観
BMW i8の最大の特徴といえば、まずその未来的なデザインです。コンセプトカーのような流麗なボディライン、空力性能を意識したエアロフォルム、そして印象的なシザードア(ガルウィングドア)は、見る人すべてに強烈なインパクトを与えます。日常で走っているだけでも注目を集め、「乗っているだけで話題になる」そんな稀有な存在感を持っています。
その独特のスタイリングは芸能人の間でも非常に人気で、お笑い芸人の吉村崇さんや、X JAPANのYOSHIKIさん、さらにハリウッド俳優のブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオといった世界的なセレブたちもi8のオーナーとして知られています。見た目のカッコよさに加え、環境意識の高さを象徴するモデルである点も、彼らのライフスタイルにマッチしたのでしょう。
所有することで「人とは違う特別感」を得られるのが、i8の大きな強みです。単なる移動手段ではなく、個性や価値観を表現する“ステータス”としての存在価値が非常に高い一台です。
0-100km/h加速4.4秒の走行性能
見た目のインパクトだけでなく、BMW i8は走行性能においても一流です。i8は1.5L直列3気筒ターボエンジンと電動モーターを組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)でありながら、システム全体で374PSのパワーを発揮し、0-100km/h加速はわずか4.4秒という俊足を誇ります。
このスペックは、同価格帯のポルシェ911やアウディR8と比べても遜色ないレベルで、特に加速時のレスポンスと安定感には定評があります。加えて、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を用いた軽量なボディ構造と、アルミニウム製のシャシーによって、1,500kg台というスポーツカーとして理想的な車重を実現。これにより、ただ直線が速いだけでなく、ワインディングやコーナリングでも卓越したハンドリング性能を発揮します。
街乗りから高速道路、さらにはサーキットに至るまで、さまざまなシーンでドライバーに「走る楽しさ」を提供してくれるのが、i8の真の価値と言えるでしょう。
モーター+エンジンによる静粛かつ爽快なドライブ感
BMW i8のもう一つの大きな魅力は、モーターとエンジンのハイブリッドによって生まれる独特のドライブフィールです。発進時や低速域ではモーターのみで走行するため、非常に静かで滑らかな加速が可能です。特にEVモードでは、深夜の住宅街や早朝の出発でも近所迷惑にならず、快適な走行が楽しめます。
加速時にはエンジンが加わり、ガソリン車ならではのダイナミックなサウンドとパワーが一気に立ち上がります。この切り替わりのスムーズさは非常に高く評価されており、まるで電車が加速するような感覚とも表現されます。EVの静けさとスポーツカーのエンジンサウンドを同時に味わえる車は、世界でもそう多くはありません。
また、4WDシステムにより前輪はモーター、後輪はエンジンで駆動されるため、雪道や雨天時の安定性も非常に高く、天候に左右されず安心してドライブが可能です。モーターならではの瞬発力と、エンジンの力強さが融合したこの乗り味は、一度体験すれば忘れられないほど印象的です。
i8はただのスポーツカーではなく、静かで力強く、快適でエコな、新しい時代の高性能車としての地位を築いています。
ロードスターとクーペ、どちらを選ぶべきか
BMW i8には「クーペ」と「ロードスター」の2つのボディタイプが存在し、それぞれに異なる特徴と魅力があります。見た目や走行性能は非常に近いものの、使い方や目的によって選ぶべきモデルが異なるため、中古での購入を検討する際はその違いをしっかりと把握しておくことが大切です。ここでは、価格、楽しさ、実用性といった観点から、どちらを選ぶべきかについて解説します。
ロードスターは希少性で中古価格が高め
BMW i8ロードスターは2018年に登場したオープンモデルで、全体の生産台数もクーペに比べて少なく、希少価値の高いグレードです。特に日本市場においては流通量が限られており、中古車市場でもプレミア価格がつくケースが目立ちます。
たとえば、2019年式のi8クーペが中古で1,000万円前後で販売されているのに対し、同年式のロードスターは1,200万円前後と、約200万円の価格差があります。これはボディタイプの違いによる単なる装備差というよりも、「希少性」そのものが価格を押し上げている要因といえるでしょう。
このように、ロードスターは「人と違うi8に乗りたい」「コレクション性も重視したい」という方には最適な選択ですが、その分のコストアップは覚悟が必要です。
ルーフ開閉の楽しさと修理リスク
ロードスター最大の特徴は、やはり電動開閉式のソフトトップルーフにあります。最高速度50km/hまでであれば走行中でもルーフの開閉が可能で、気軽にオープンドライブを楽しめる点は、クーペにはない魅力です。特に春や秋のドライブシーズンには、風を感じながら走る開放感は格別で、所有する満足度を大きく高めてくれる装備です。
ただし、ルーフ開閉機構には複雑な電動システムが使われており、トラブルが発生した場合の修理費用は高額になる可能性があります。ディーラーでの修理となると、パーツ代だけでなく工賃も含めて数十万円単位になるケースもあり、購入後のリスクとして考慮しておくべきポイントです。
また、ルーフを格納するスペースの影響で、クーペよりもラゲッジ容量が少なくなるというデメリットもあります。荷物を積む頻度が高い方や、実用性を求める方にとっては、やや使い勝手の悪さを感じるかもしれません。
実用性と価格バランスで選ぶならクーペ?
もし「価格と実用性のバランス」を重視するのであれば、BMW i8クーペを選ぶのが賢明かもしれません。クーペはロードスターに比べて中古価格が比較的抑えられており、同じ年式・走行距離で比べると100〜200万円ほど安く購入できる傾向があります。
また、ルーフ開閉機構がないぶん構造がシンプルで、トラブルのリスクも低くなります。トランク容量もロードスターよりやや広めで、実用面ではやや優れています。スタイリングも十分に個性的で、スーパーカー然としたデザインは健在です。
「オープンエアの爽快感よりも、コストパフォーマンスや維持のしやすさを重視したい」という方には、クーペが非常におすすめです。特に初めてi8を購入する方や、長期所有を考えている方には、トータルバランスに優れたクーペを選ぶことで、満足度の高いカーライフを送れるでしょう。
中古BMW i8を購入する際の注意点
中古でBMW i8を購入する場合、見た目や価格の魅力だけで決断してしまうと、あとから大きな後悔につながることがあります。とくにバッテリーの劣化状態や保証内容の確認は、購入前に必ずチェックすべき重要なポイントです。ここでは、i8購入前に押さえておくべき注意点について整理して解説します。
バッテリー状態の診断と保証の確認
BMW i8に搭載されているリチウムイオンバッテリーは、約7〜10年の耐用年数とされています。バッテリーが劣化するとEV走行距離が短くなったり、モーターアシストの力が弱まったりと、i8の魅力が半減してしまいます。しかも、バッテリーの交換費用は約700万円と非常に高額で、車両価格を上回るケースすらあるため、購入前には必ず「今のバッテリーがどれくらい使えるのか」を見極める必要があります。
BMW正規ディーラーでは、バッテリーの状態を専用診断機で測定し、「SOH(State of Health)」という数値でバッテリーの健全性を把握することができます。SOHが90%以上であれば比較的安心ですが、80%を切っているような場合は近いうちに交換が必要になる可能性もあります。中古販売店でも診断サービスを提供している店舗もあるので、購入前には必ず診断書の提示を求めるのがおすすめです。
また、バッテリーに対する保証内容の確認も重要です。BMW i8は新車購入時に8年間または10万kmのバッテリー保証がついており、中古車であっても条件を満たしていれば保証が継承されるケースがあります。逆に、保証が切れていたり、保証継承の手続きをしていない車両は、万が一の際に全額自己負担になるリスクがあります。
「バッテリーの状態」と「保証の有無」は、BMW i8の中古車を購入するうえで最も重要なチェックポイントです。ここを曖昧にしたまま購入してしまうと、のちに高額な出費が発生する可能性がありますので、慎重すぎるくらいのチェックが求められます。
初期モデル(2014〜2015年)の不具合リスク
BMW i8の初期モデル、特に2014年~2015年式の個体には、新技術ならではの初期不良や経年劣化によるトラブルリスクが潜んでいます。デザインや基本構造に関しては後期型と大きく変わりませんが、細かい部分での仕様改善や品質向上が進んだのは2018年のマイナーチェンジ以降です。
具体的には、初期型ではバッテリー容量が小さく(7.1kWh)、モーター出力も控えめだったため、EV走行距離や加速性能が後期型と比べてやや劣っていました。さらに、当時のバッテリー制御ソフトウェアや電子部品は、現在ほど信頼性が高くなく、経年に伴う電子系トラブルの報告もちらほら見受けられます。
また、2014年~2015年モデルは新車販売から10年近く経過していることもあり、バッテリー寿命の観点から見ても、交換時期が近づいている個体が多いです。前述のとおり、バッテリー交換費用は約700万円にものぼるため、バッテリーの健康状態と、保証の有無は必ず確認しておく必要があります。
さらに、初期型に関してはオプションの構成や装備内容も限定的で、中には後期型で標準装備となっている機能が搭載されていない個体もあるため、購入前には装備の確認も大切です。安さに惹かれて初期型を購入した結果、後から「想定外の出費が重なった」という声も少なくありません。
年式・走行距離と価格のベストバランスを見極める
BMW i8の中古車選びで最も大切なのは、「価格の安さ」だけでなく、「年式・走行距離・バッテリー状態」のバランスを見極めることです。単純に安い個体は、古さや走行距離の多さ、またはバッテリー交換が近いなどのリスクを抱えている可能性が高く、トータルコストで見れば高くついてしまうケースもあります。
たとえば、2014〜2015年式の初期モデルは800万円台で購入可能ですが、走行距離が5万km以上の個体も珍しくなく、バッテリーや消耗部品の寿命に注意が必要です。一方で、2018年以降の後期型は、バッテリー容量が11.6kWhに増量され、システム出力も362PSから374PSへ向上。モーター性能やEV走行距離が伸びており、より完成度の高いモデルになっています。
このような後期型は、走行距離1万〜2万km台で1,000万円前後と価格はやや高めですが、性能・信頼性の面では安心感があります。加えて、3年落ち程度の個体であれば、新車保証が一部残っている可能性もあり、故障時の負担を軽減できるメリットがあります。
価格を抑えつつも信頼性を求めるなら、2016〜2017年あたりの中期モデルで、走行距離が3〜4万km以内の個体を狙うのがベストバランスといえるでしょう。あらかじめ、バッテリー診断と整備記録の有無、保証内容をしっかりチェックすることで、「お得に、かつ安心して乗れるi8」に出会える可能性が高まります。
結論:BMW i8の中古は誰におすすめか?
BMW i8は、そのスタイリングや先進性、走行性能などから多くの人を魅了するモデルですが、実用性や維持費という現実的なハードルも存在します。では、i8の中古車はどのような方におすすめできるのでしょうか。結論としては、「コストを理解した上で所有の喜びを味わいたい方」にこそ、i8は最適な1台です。
コストを許容できる愛好家向けの1台
i8は新車時に2,000万円を超える高級車であり、中古であっても高額な維持費がかかる点は変わりません。年間30万円以上の維持費、部品代の高さ、そして万が一のバッテリー交換費用など、経済的な負担は決して小さくありません。
そのため、i8の中古車は「予算に余裕がある」「ランニングコストも含めて楽しめる」愛好家やコレクター向けのモデルといえます。購入後もこまめにメンテナンスしながら、大切に乗っていける方にこそ、真の価値を発揮してくれる1台です。
実用車ではなく「所有する喜び」を重視する人に
i8は、シザードアや低い全高、狭い後席、少ない荷室容量など、日常使用には向かない設計です。しかし、その代わりに得られるのは、他にはないデザインと存在感、そして高い走行性能です。
たとえば、週末のドライブや特別なイベント、あるいは自分自身のモチベーションを高めるための“非日常”な移動手段としては、これ以上ない魅力を持ったクルマです。「使いやすさ」ではなく「所有する満足感」を重視する方にこそ、i8は応えてくれるモデルです。
安さに惹かれる前にチェックすべきポイントまとめ
BMW i8の中古車は、新車時の価格から見れば非常にお買い得に感じられるかもしれません。しかし、「なぜ安いのか?」をきちんと理解したうえで、次のような点を必ず確認しておく必要があります。
- バッテリーの状態(SOH値)と交換履歴
- 新車保証または延長保証の有無
- 年式と走行距離に対する価格の妥当性
- 初期型特有の不具合の有無
- 修理・点検記録の有無
安さだけで飛びつくのではなく、これらのチェックポイントを丁寧に確認することで、本当に満足できる1台に出会える可能性が高まります。BMW i8は、価格の落差以上に「価値」を見い出せる車。自分のライフスタイルや価値観に合うかどうかを見極めながら、慎重に選びたいところです。
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